【やしまーるカフェ】SANAA出身の建築家、SUOの作る、敷地を生かした有機的な曲線
概要
さて、本日紹介する建築はやしまーるカフェです。正式名称は、「屋島山上交流拠点施設」で、香川県にある屋島山の頂上付近に位置しています。機能はカフェ、と愛称についているようにカフェと、展望台や小さなギャラリーがあります。
主な設計者は、プリツカー賞を獲得した有名建築家であるSANAAが輩出した、SUOという会社の周防貴之氏です。
ここで少しだけ自己紹介をさせてください。「一日一建築」と称して一日に一つ、自分の好きな建築について発信しています著者のちぇりーです!
このサイトは、建築学生が作り手の目線に立って紹介するという特徴があります。そのため、使い手の目線よりも、建築についてより深く学べると思います。ぜひ見てみて下さい!
見どころ
SANAAの建築にもよく見られる曲面ガラスが特徴の建築です。
この建築には、夕方に行くのがとてもおすすめです。このように、夕日が赤くなっている景色と、それが曲面ガラスに映ったところを同時に見ることができます。
かなり標高の高い高台にいるため、景色も夕日もとてもきれいで、さらにその美しい景色を引き立てる建築となっています。
公式サイト(営業時間、アクセス等)
公式サイト:https://www.yashima-navi.jp/jp/yashimaru/
開館時間:9~17時(金・土・祝前日は9:00~21:00)
定休日:火曜日(休祝日の場合は、翌平日)
アクセス:高松駅から電車で約16分+シャトルバスで約18分、駐車場あり
休日の前日は21時まで開いていたりと、とても行きやすいですね。
アクセスは、高松駅からは少し離れていて山上にあることや駐車場(一日300円)が広いことから、車だととても便利でした。
現在は変更の可能性があるので、上記の公式サイトからお確かめください。
シークエンス
テラスからカフェを見る。
入ると順に入口から、ショップ、会議室、小さなギャラリー、ミニシアター、テラス、カフェという順番で空間が現れます。
その空間同士の間は、すぼんだ路地のような場所で区切られています。
すぼんだ路地から少し広い空間、の繰り返しでシークエンスができています。
路地、と勝手に私が名付けてしまいましたが、廊下ではなく路地だと思うくらい、まるで外にいるかのように感じさせる建築でした。
建築としての評価は?
建築家
今回の設計は、SUO・Style-A設計共同企業体です。
主に、SANAA出身のSUOという会社の周防貴之氏が設計しています。
コンセプト
場所の特徴を顕在化する
引用:新建築データ(https://data.shinkenchiku.online/projects/articles/SK_2022_09_034-0)
機能について
18年の屋島山上拠点施設基本設計国際プロポーザルで、藤本壮介氏や石上純也氏らに競り勝ち、最優秀者に選ばれた。
引用:https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00585/061300148/
周防氏は、SANAAから独立して初めてのプロポーザルで、上記のような数々の建築家を差し置いて、最優秀賞に選ばれたそう。さらにこのプロジェクトは、約16億円がかけられている。
敷地
香川県屋島の山上エリアに位置しています。
かなり標高が高いため、高松の町が一望できる展望台としての役割も担っています。
ちなみに、駐車場からは10分ほど歩いてようやく着くという立地にあります。
この建築まで歩く道中の手前にある、「れいがん茶屋」もSUOの設計です。
「れいがん茶屋」は、廃墟になっていた旅館の改修で、床を緩やかな丘のようなコンクリートに変更し、かつ、一階部分の壁を壊し柱梁を残すことで、奥の景色が見える、この高台という特性を生かした設計になっています。
設計プロセス
コンセプトの「場所の特徴を顕在化する」ための様々な工夫が盛り込まれた建築となっています。
まず、この敷地の一番の特徴である、敷地西側が瀬戸内海を望むことのできる高台であることから、展望テラスを建築の一部として取り込んでいます。
南北は国立公園に指定された公園が広がっていて、その公園の樹木を見せるため、ぐっと視界が絞られる低い開口部になっている。
敷地の高低差を生かした有機的な曲線にすることで、植物の有機的な曲線との調和を図っている。曲線に挟まれたポケットのような広場には、樹木やベンチが置かれて居場所になっている。これが、四角いグリッドに則った形だと、この土地の特徴を生かしきれていない形に見えるだろうということが容易に想像できる。
外観
垂直水平のほとんどない、一続きのスロープのつくる動線を有した設計になっている。
内観
写真だけではなかなか全体像が掴みにくいと思いますが、どこから見ても自然の風景が目に飛び込んでくるような建築となっています。
特徴的な材料
高低差がなんと約6mもあるこの建築は、高台からはよく屋根も見えるため、屋根には特徴的な材料が使われている。
屋根材は、地元の庵治(あじ)石でつくった特注の板状の瓦を約3万4000枚使用している。高級な墓石などに使われる庵治石で瓦を製作するのは珍しく、瓦の形から設計したオリジナルデザインだ
引用:https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00585/061300148/
最後に
まとめ
この建築は、西側に高台からの眺めがあることで、夕焼けと美しい景色を同時に見ることができるという敷地の特性を最大限にポテンシャルを引きだし設計された建築だと思います。
このように、方角の持つ特性を生かすということが本日の学びになりました。
このブログでは、「一日一建築」と称し、いろいろな建築家の方の建築を紹介しています。よかったらご一読ください。↓
Pioneer Of Attractive Archi – より深く名建築について知ることができるサイト。 (attractive-archi.tech)
昨日紹介した建築はコチラ!
参照サイト等
・https://suosuo.jp/home/about/
・https://www.yashima-navi.jp/jp/yashimaru/
・https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00585/061300148/
・https://data.shinkenchiku.online/projects/articles/SK_2022_09_034-0