【銀山温泉 しろがね湯・藤屋】隈氏が作る、黒子建築。

概要
こんばんは!「一日一建築」と称して毎日自分の好きな建築について発信しています著者のちぇりーです!
このサイトの特徴として、建築学生が建築という観点から評価するというところで、ボリュームは少し多めですが、その分、建築についてより深く学べると思うのでぜひ見てみて下さい!
さて、今日の建築は、銀山温泉の付近にある建物のしろがね湯、藤屋です。
これは、私がこのブログで紹介してきたり、隈氏の建築を見てきた中で、一番好きな建築です。コロナ渦が終わったら一番に行きたい場所です。ぜひ見ていってください!
行ってみるには?
見どころ

これがしろがね湯のファサードです。
しろがね湯の見どころは、その「黒子」に徹した外観です。銀山温泉の中では、北端に位置しているのですが、最初は通り過ぎてしまうほどだそうです。敷地特性をしっかりと考えて、歴史ある場ではしっかりと主張を抑えるところがさすがですね。
しかし、入り口側の間口が2mほどです。びっくり!隈氏史上一番のペラペラな建築です。
また、ここは銀山温泉唯一の公衆浴場となっています。
藤屋の一番の見どころは、川側のファサードです。
所在地
アクセス
ご利用案内(営業時間、一般開放しているか、利用料金等)については、コロナ下において変更の可能性もありますので、ご自身でHPのほうをご覧ください。
もっと詳しく(独自の観点からの評価 )
建築家(構造設計)
また隈研吾氏の設計した代表的な建築で、もっとも有名なのは、国立競技場です。
近作で、都内にあるものの中はスターバックス リザーブ® ロースタリー 東京、根津美術館、明治神宮ミュージアム、JR高輪ゲートウェイ駅、浅草観光センターなど多数あります。
このブログでは、「一日一建築」と称し、毎日、主に隈研吾氏の建築を紹介しています。よかったらご一読ください。↓
Pioneer Of Attractive Archi – より深く名建築について知ることができるサイト。 (attractive-archi.tech)
昨日紹介した建築はコチラ!
コンセプト
場所と体をスクリーンを介してつながるです。
デザインのプロセス
隈研吾氏は、大正時代の原型へとさかのぼることがコンセプトだそうです。
最も神経を注いだのが、旅館が集中していたり、目の前に道路がある中で、旅館に相応しい静かな室内環境を獲得するためのやさしいスクリーンの創造でした。「内観」に詳しく載っています。
旅館の公式サイトによると、大正×平成ロマン、なデザインだそうです。
内観

エントランスは、案内板など無駄な突起物は一切ないといいます。また、客室までの通り道も、ドアノブ等がなく、客室の入り口がわからないというほどなのです。
内部では、簾虫籠(すむしこ)と呼ばれるスクリーンが使われています。
というのも、のちに出てくる、外との境界と内同士の境界は同じであってはいけないという考えからです。その理由が、人間が体に羽織るものも、そとはコートから、うちは下着など、どんどん柔らかな薄いものになっていくからです。
ちなみに、これは日本の伝統的な格子の一種で、手作業で4㎜幅の竹をフレームに一本一本打ち付けていくのです。
このような職人さんたちの技術がこもった一流のホテルとなったといえるでしょう。
この建築の構成材料

ディテールには、無双格子を使いました。これによって、光とプライバシーをコントロールすることに成功しました。
なかには、とても珍しい緑のガラスが使われていたり、とても興味深いです。
この詳しい解説については、今回参考にしたこの本に載っています!ぜひチェックしてみて下さい!
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現代のステンドグラスは、強度があるフロートガラスの内側にステンドグラスをはめているそうです!上の本からは、こんな知識も得ることができ、とてもおすすめです。
計画のはなし
平面・配置プラン

断面プラン
これについては、しろがね湯について述べていきます。
この建築は、実は延床面積がわずか63平米しかありません。そこに二つの浴室が収まっています。

その方法が、一階と二階それぞれ男女で分けるということです。一日ごとに男女入れ替えなので、ぜひ二日ここに滞在してどちらも入ってみたいですね!
構造プラン
既存の躯体を活かしています。
コンクリートによる改築部分を取り除き、純粋の木造に戻しました。
木造の三階建ては法規的にハードルが高いそうです。しかし、銀山温泉は、谷地であるせいで古くから3,4階建てという中層の木造建築で知られているのです。そのため二階建てにはしたくなかったそうなのです。
そこで、「改修」という認定をうけるため、大正時代の骨組みを保存し、ファサードだけ付け替えるということに挑戦しました。
環境プラン

右端に見えるのが藤屋です。周りと調和するための縦格子のおかげで、このノスタルジックな雰囲気とマッチしています。
本当に行ってみたい。いつかお金持ちになったら泊まりに行きたいですね。
公式サイトをチェック!
公式サイトはコチラ↓
http://www.fujiya-ginzan.com/room.html
公式サイトにある、「匠の愛」という項が感動しました。
自分ももっともっと建築をこだわりぬいてその「愛」を見せられたらと思いました。永遠に時間を使ってやろうと思いました。
まとめ
参考書籍
隈研吾氏の建築を学ぶ上で、私がいつも参考にさせていただいている書籍は、「隈研吾建築図鑑」という名前で、著者は宮沢洋さんです。日経の出している本なので内容は安心かつ、すべてイラストで構成されているため、とても読みやすいです。
図解でわかりやすく、かつ明快な分類でまとまっていることがこの本の特徴です。初心者の私でも読むのが楽しく、かつ建築学生として有用な知識が詰まっていました。
隈研吾建築の変遷を全体的に捉えること、一つ一つの建築の特徴を理解すること、というどちらものアプローチで学ぶことができます。
ぜひ手に取ってみて下さい!
この書籍も作品集ですが、上の書籍よりも深く学ぶことができます。上の書籍で広く浅く隈建築を知ったあとに、少し深掘りする、という使い方が良いと思います。
図面なども載っていて、ボリューム感が良いです。とてもおすすめです。
言わずと知れた名著です。建築に携わるものとして、読むことは必須だと思います!
参照サイト等
・隈研吾建築図鑑 画・文:宮沢洋
・http://www.fujiya-ginzan.com/image/top/flash_bk_top.jpg
・隈研吾デザインのモダンな外観 銀山温泉唯一の公衆浴場「しろがね湯」|ゆこたび (yukoyuko.net)
・銀山温泉 - 尾花沢市 (city.obanazawa.yamagata.jp)
・場所原論 隈研吾
今日のプチコラム
狭く深く知りたい方は、「内観」の項をチェック!
この建築の感想としては、小さなディテールへのこだわりが功を奏するのだなと思いました。この「こだわり」こそが「愛」なのでしょうね。
皆さん、明日も頑張りましょう!