【新風館】隈研吾氏が、連続する木格子で異質をつなぐ

概要

こんばんは!「一日一建築」と称して毎日自分の好きな建築について発信しています著者のちぇりーです!
このサイトの特徴として、建築学生が建築という観点から評価するというところで、ボリュームは少し多めですが、その分、建築についてより深く学べると思うのでぜひ見てみて下さい!

さて、今日の建築は、「新風館」です。建築家の吉田鉄郎が戦前に設計した京都中央電話局を保存しつつ、ホテルや商業から成る複合施設とした。

行ってみるには?

見どころ

出典:中2階、ロビーの上に渡した回廊から見た様子。メンテナンスで高所作業ができるよう、木組みのグリッド内に人が入れるスペースを確保している(写真:生田 将人) | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)

こちらの、内外の境界のあいまいになったパサージュです。詳しくは、「内観」の項で述べています。

パサージュとは?
道と道を結ぶ、「通り抜け」や「小径(こみち)」を表す言葉で、最新の素材などを用いて建てられた、高級店、流行品店が屋根付きの通路をはさんで軒を連ねるときに使われました。

所在地

ご利用案内(営業時間、一般開放しているか、利用料金等)については、コロナ下において変更の可能性もありますので、ご自身でHPのほうをご覧ください。

もっと詳しく(独自の観点からの評価 )

建築家(構造設計)

また隈研吾氏の設計した代表的な建築で、もっとも有名なのは、国立競技場です。
近作で、都内にあるものの中はスターバックス リザーブ® ロースタリー 東京根津美術館明治神宮ミュージアム、JR高輪ゲートウェイ駅、浅草観光センターなど多数あります。

このブログでは、「一日一建築」と称し、毎日、主に隈研吾氏の建築を紹介しています。よかったらご一読ください。↓
Pioneer Of Attractive Archi – より深く名建築について知ることができるサイト。 (attractive-archi.tech)

昨日紹介した建築はコチラ!

コンセプト

伝統の刷新、かなと私は思います。

機能的提案

リノベーションの建物となっていて、左側が元の建物です。

出典:烏丸通から見た「新風館」。地上3階建ての京都市登録文化財「旧京都中央電話局」と、背後の新築棟から成る。右手は烏丸通のエントランス。東側の東洞院通とはパサージュで結ばれ、相互に通り抜けできる。京都市営地下鉄の烏丸御池駅とはエレベーターで直結する(写真:Forward Stroke) | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)

外観

外観バラバラ建築です。一つのイメージを押し付けないことで、主張を消す、という新しい手法を使っているそうです。これは北側ファサードです。ホテルのエントランスにもなっています。

出典:増築建物の北側に設けたホテルのエントランス(写真:生田 将人) | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)

一方、これが東、南側ファサードです。

出典:クリンプ金網のスクリーンで覆われた東面・南面の外観と、東洞院通側のエントランス(写真:Forward Stroke) | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)

このように隈さんの設計した外観がバラバラな建築は、ほかにもあります。ぜひチェックしてみてください。

【飯山市文化交流館 なちゅら】隈研吾氏の建築を象徴する南北で異なるファサードと、木でつくるサイン。

概要 北陸新幹線・飯山駅の開業に合わせて整備した公共施設。「ナカミチ」と呼ぶ路地で二つのホールと交流施設をつなぎます。「ガンギ」と呼ばれる雪国特有の屋根した空間…

長野県にあります。
【TOYAMAキラリ】隈研吾氏の「曲がりくねる」吹き抜け

概要 富山市ガラス美術館、富山市立図書館、富山第一銀行から成る複合ビルです。吹き抜けを斜めに利用した理由は、南からの自然光を有効活用するためだそうです。また、南…

富山県にあります。
【ダイワユビキタス学術研究館】隈研吾氏のの創る木の「ウロコ」

概要 東京大学の本郷キャンパスにある研究棟です。羽目板のパネルがうろこのように重なり、うねりながら連続していきます。 行ってみるには? 見どころ このファサードで…

東京都にあります。関東近辺に住んでる方はぜひ訪れてみてください。

内観

出典:烏丸通側から入った商業エリアへのアプローチ空間。左手に姉小路通に抜ける小路がある。右手には、東洞院通に通じる「パサージュ」がある。新風館は3方の道路に面してそれぞれ個性的なエントランスを持つ(写真:生田 将人) | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)

外見のバラバラ感は、中に入ると一変します。見どころにもありました、中庭の緑と、天井に連続する木組みが、新旧を違和感なくつなげたパサージュです。
これは、京都の路地「辻子(づし)」を模して計画され、小路を散策するような自然な通り抜け感をつくりだしています。

隈さんの建築にはいつも感じていますが、伝統と新しい技術をちゃんと取り入れることは、どちらも物凄く勉強した人しかできないのだろうなと。本当にそう感じさせます。。。見習わなくてはなりませんね。

この建築の構成材料

新築棟には、木で組んだ斗きょう、アルミ製ルーバー、墨色プレキャストコンクリートの三種類の材料を用いた。

計画のはなし

断面プラン

ホテルの吹き抜けは、ごつい気の行使で包まれています。しかし、感じ方はふんわりしています。
ガラスの外側と内側から木の梁を組みあわせ、貫いているように見せている。これも軽く感じる一因かと思われる。

出典:コミュニティー型ホテルを体現する、地域に開かれた1階ホテルエントランスロビー。商業部分と共通の床材を使っている。隈氏が提案した木組みに、コミューンデザインがグリッド照明を融合させた(写真:生田 将人) | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)

日本の伝統は、太い木で重く見せることだった。しかしこの建築は、新しく、太くて軽いです。伝統の刷新が起こるかもしれませんね。

出典:中2階、ロビーの上に渡した回廊から見た様子。メンテナンスで高所作業ができるよう、木組みのグリッド内に人が入れるスペースを確保している(写真:生田 将人) | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)

動線プラン

パサージュは、通り抜けることができます。

環境プラン

出典:烏丸通のエントランス側から見た中庭。右手に増築した建物が立つ。外部に突出した木組みの背後に、サッシと木組み端部を支えるバックマリオンが配されている(写真:生田 将人) | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)

やはり、木とこげ茶は合いますね。樹木の使い方もさすがだなと思います。
また、あまり誰も触れませんが、このような新旧のハイブリットを許す、それどころかそれを引き立てる改修前の建物もさすがだなと思います。

新しい風が、流れ込んできたみたい。こんなことができるのか、さすがだなと思いました。樹木や緑を取り入れるのは、最近の潮流なのに、それがまるで昔からあったかのように自己主張しながらふるまえる。そんな場所を作っているのです。このように雑多な主張のない中途半端な設計では、違和感を覚えるところですが、何か、だれも我慢しなくてよい心地よさをやはり感じてしまいそうですね。

まとめ

参考書籍

隈研吾氏の建築を学ぶ上で、私がいつも参考にさせていただいている書籍は、「隈研吾建築図鑑」という名前で、著者は宮沢洋さんです。日経の出している本なので内容は安心かつ、すべてイラストで構成されているため、とても読みやすいです。
図解でわかりやすく、かつ明快な分類でまとまっていることがこの本の特徴です。初心者の私でも読むのが楽しく、かつ建築学生として有用な知識が詰まっていました。
隈研吾建築の変遷を全体的に捉えること、一つ一つの建築の特徴を理解すること、というどちらものアプローチで学ぶことができます。
ぜひ手に取ってみて下さい!

この書籍も作品集ですが、上の書籍よりも深く学ぶことができます。上の書籍で広く浅く隈建築を知ったあとに、少し深掘りする、という使い方が良いと思います。
図面なども載っていて、ボリューム感が良いです。とてもおすすめです。

言わずと知れた名著です。建築に携わるものとして、読むことは必須だと思います!

参照サイト等

・隈研吾建築図鑑 画・文:宮沢洋
新風館 | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)

今日のプチコラム

皆さん、明日も頑張りましょう!

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