【藤本壮介】Tokyo Apartmentをめぐる秩序、とは?彼にとっての設計を探る。
概要
こんばんは!「一日一建築」と称して毎日自分の好きな建築家について発信しています著者のちぇりーです!
このサイトの特徴として、建築学生が建築計画という観点から評価するというところで、ボリュームは少し多いですが、その分、建築についてより深く学べると思うのでぜひ見てみて下さい!紹介している建築や建築家の方については、今とても注目を集めるパラメトリックデザインに関するものを紹介していきます。また、この分野に興味を持つ方は、英語圏にもたくさんいらっしゃるということで、今後英語で発信を始めようと考えています!
さて、今日の建築家は、藤本壮介氏です。パソコンを使ったアルゴリズムではないですが、設計のやり方、と言った意味でのアルゴリズムについての記述がありますので、藤本壮介氏の考えを非常によく知ることができると思います。
最近建築家についてブログで書いているうちに、アルゴリズムを使った設計をしていないように思っていた建築家も、やはりコンピュータを使った設計には多かれ少なかれ興味を持っているのだなと思いました。私はむしろパラメトリックデザインには反対の建築家ばかりなのだと思っていましたが、その考えが覆されました。有名な建築家は、しっかりと時代の潮流をつかんでいるということと、そのように多くの知識や知見がある、また、アルゴリズミックデザインはそれだけ多くの注目を集める分野だということを再認識しました。
また、このような知識を得ることができるので、やみくもに始めてここまでやってきましたが、一日一建築として発信することは、とても有益だと思うようになりました。
建築家(構造設計)
どんな人?
1971年 北海道生まれ
1994年 東京大学工学部建築学科卒業
2000年 藤本壮介建築設計事務所設立
現在、東京理科大学、昭和女子大学非常勤講師
http://www.jia.or.jp/member/award/newface/2004/fujimoto.htm
そもそも、物事を新しい見方によって捉えられるようになることが夢だったそうです。
例えば、アインシュタインは、すでにあったニュートン力学とは全く別のアプローチをして、それによって世界の見方が全く変わってしまいました。そういうものに憧れがあったそうです。
建築思想、研究内容
終始とても明確なルールを持っていて、それでいて建築を構成しているようで、そうでないそうです。ほんの小さな思い付きから膨らんだイメージなどで形を与えてみると、段々とそこに秩序らしきものが現れるそうです。決して、そのルールが見えてきたからドライブしたのでなく、出来上がってみるとそこにルールがある、というのです。
なんとこれに関して、彼は、「部分の建築」という本を2001年に出版しています。
この考え方もとても面白いと思いました。自分もやってしまっていたからこそ思いますが、形から入ってしまう人にはとても良い教訓だと思います。
こういう造形、こういうルールで構成する!と最初から決めてしまうのではなく、心地よい空間になる小さい、局所的なイメージを広げていった先に、秩序が生まれてそれがタイトルやコンセプトになる、というもっと柔軟な考え方をしなくてはならないのかもしれませんね。
これはいわば、前者がモダニズムで、後者がその後に生まれた現代的な建築なのかもしれませんね。
例えば、小嶋一浩氏や隈研吾氏は、細かで柔らかい使用者への配慮が少しずつ集まって大きなものになっていますよね。
代表作
東京アパートメント、伊勢の援護軍、情緒障害児施設等です。
これが情緒障害児施設 バウムハウスです。
これが東京アパートメントです。とても乱雑な中の秩序を感じますね。
代表作を見ている限り、自分も彼は秩序を持って設計しているのではないか、と思わされてしまいます。しかしそれは彼の意に反していて、本当は、常に秩序とそうでないものをやりたいという気持ちの葛藤がある、ということがわかりました。
彼がこの東京アパートメントを、スタッフの一人がだしたこの案で進めようと思ったきっかけについて、このように話しています。
・東京そのもの、だけど東京にはありえない存在。
・めちゃくちゃであることと秩序だっていることが同居してそれぞれ成り立っている。
・説明できないが、具体的に自分でこの空間を体験してみたくなった。
・設計の最後に建築をより自由にする秩序が立ち現れた瞬間が一番面白い。
どれも葛藤から来ていますよね。かれが新しい建築の捉え方とともに、新時代の建築をこれからも世の中に発信していくことを期待しています!
図面はこのようになっています。
最後に、私の考えですが、このように、浴室がガラス張りになっていたり、窓がある建築は、まさに建築家の設計した建物だと思います。しかし、これが本当に一番良い住まいの形なのか、問われたらそうでないと思います。今頃このような建築に住んでいる方々は、カーテンを付けて、竣工当時とは全く異なる様相をした建築となっていると思うのです。
そこまで考えられた建築を設計できるようになるとよいと私は思いました。
最後に
このブログでは、「一日一建築」と称し、毎日、主に隈研吾氏の建築を紹介していましたが、ほかの方の建築も紹介しています。よかったらご一読ください。↓
Pioneer Of Attractive Archi – より深く名建築について知ることができるサイト。 (attractive-archi.tech)
昨日紹介した建築はコチラ!
いつも参考にしている書籍の紹介が最後にあります。さらに建築を学びたい、という方は、もしよかったら見ていってください!
参照サイト等
・10+1 No.48 特集 アルゴリズム的思想と建築 INAX出版
・2004年度 新人賞受賞作品|JIA新人賞|JIAの建築賞|JIA 公益社団法人日本建築家協会
・こころとそだちの家 バウム ハウス ※児童心理治療施設 (tarap.org)
参考にしている書籍の紹介
今回の参考書籍は、10+1 No.48 特集 アルゴリズム的思想と建築 INAX出版です。
また、以前紹介していたアルゴリズミック・デザインという書籍は、たくさんの建築の、どうやってできたかの部分が載っている本で、伊東豊雄氏の建築なども載っています。おすすめなのでぜひこの書籍をどうぞ読んでみて下さい。ここまで、本当にどのようなプログラムで作られてこの建築ができたか、という具体的な過程の部分を書いている書籍はなかなかないと思います。少し難しくはなりますが、ぜひお手に取ってみて下さい!
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アルゴリズムによって設計された建築ではないですが、私がいつも参考にさせていただいている書籍は、「隈研吾建築図鑑」という名前で、著者の方は宮沢洋さんです。日経の出している本なので内容は安心かつ、すべてイラストで構成されているため、とても読みやすいです。
狭く深くというより、隈研吾さんの事務所の設計した建築について広く浅く学ぶことができます。初学者の方から、隈研吾さんの建築をいくつかしか知らないという方に本当におすすめなので、ぜひご一読ください。隈研吾建築図鑑です。
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今日のプチコラム
今回の参考書籍の隈研吾建築図鑑以外にもとても役に立った書籍がありますので紹介します。
もしよければご一読ください。「場所原論」 著:隈研吾
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皆さん、明日も頑張りましょう!
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