【京王線高尾山口駅】隈研吾氏は大屋根のみで、印象の刷新を成し遂げた
概要
2007年以降登山客が増えた高尾山の最寄り駅の改修。木の大屋根は、日常と聖地との「結界」をイメージしたそうだ。駅のホームにも木を用いて改修しました。
行ってみるには?
見どころ
この大屋根です。木のヒダと、その非現実を感じさせる柔らかく暖かい光にも注目です。
公式サイトをまずチェック!
駅構内マップ等が載っている京王線の公式サイトはコチラ↓
高尾山口駅|各駅情報・時刻表|京王グループ (keio.co.jp)
隈研吾氏の事務所の公式サイトはコチラ↓
Keio Takaosanguchi Station – 京王高尾山口駅 | Architecture | Kengo Kuma and Associates (kkaa.co.jp)
所在地
もっと詳しく(独自の観点からの評価 )
建築家(構造設計)
隈研吾氏となっています。
隈研吾氏の設計した代表的な建築で、もっとも有名なのは、国立競技場です。
近作で、都内にあるものの中はスターバックス リザーブ® ロースタリー 東京、根津美術館、明治神宮ミュージアム、JR高輪ゲートウェイ駅、浅草観光センターなど多数あります。
このブログでは毎日ひとつの建築を紹介しています。よかったらご一読ください。↓
Pioneer Of Attractive Archi – より深く名建築について知ることができるサイト。 (attractive-archi.tech)
コンセプト
日常と聖地との「結界」です。また、鉄道という近代のインフラと、大自然との間のボーダーでもあるのです。
隈研吾氏は、駅舎のモチーフを「高尾山薬王院」としています。その理由が、薬王院は山岳信仰の聖地であり、薬王院の歴史・文化を継承し、この地域に流れていた時間を継承したい、ということでした。
デザインのプロセス
登山客は、まず駅舎内から大屋根を見ます。その時の間近で見上げた時のインパクトが最大になる工夫を盛り込んでいます。
屋根を水平ではなく、空に向かって傾けて架けています。
木の板で「ひだ」を付けて上昇感を強調しています。
家路に向かう登山客を迎えるゲート感もヒダのない部分で強調しています。
機能的提案
駅舎です。既存の駅舎をほとんど利用しています。
外観
駅舎の一部で、外装のみ改修された場所です。
この地域に流れていた時間を継承したい、というコンセプトからも全面的に改修したわけではないのでしょう。
内観
改札内も、既存の柱や天井に木のヒダを付けて統一感を出しています。
この照明は、高尾山の行灯からヒントを得た照明器具によって、乗客に別世界を体験してほしいとのコンセプトからきています。
この建築の構成材料
木ルーバーの材料となっているスギは東京都指定天然記念物で、スギ並木になぞらえています。
建築家界での評価は?
ここまで刷新効果の高いリノベーションは珍しい、と言われています。ほとんどの人が駅舎を建て替えた、と思うでしょう。しかし、実は新設したのは大屋根のみとなっています。南側は、外装すらそのままだそうです。
計画のはなし
図面は?
見つかりませんでした。。
平面・配置プラン
周辺環境との関係はこのようになっています。
また、周辺には温浴施設等も同時に新設されました。
環境プラン
リニューアル前はこのようになっていました。
まとめ
参照サイト等
・隈研吾建築図鑑 画・文:宮沢洋
・高尾山口駅|各駅情報・時刻表|京王グループ (keio.co.jp)
・Keio Takaosanguchi Station – 京王高尾山口駅 | Architecture | Kengo Kuma and Associates (kkaa.co.jp)
・【建築探訪】京王高尾山口駅/隈研吾建築都市設計事務所 – 建築グラビア (christinayan01.jp)
・高尾山口駅 - 隈研吾デザインでリニューアルされた高尾山への玄関口 | 見どころ | 高尾山マガジン (mttakaomagazine.com)
参考書籍
隈研吾氏の建築を学ぶ上で、私がいつも参考にさせていただいている書籍は、「隈研吾建築図鑑」という名前で、著者は宮沢洋さんです。日経の出している本なので内容は安心かつ、すべてイラストで構成されているため、とても読みやすいです。
図解でわかりやすく、かつ明快な分類でまとまっていることがこの本の特徴です。初心者の私でも読むのが楽しく、かつ建築学生として有用な知識が詰まっていました。
隈研吾建築の変遷を全体的に捉えること、一つ一つの建築の特徴を理解すること、というどちらものアプローチで学ぶことができます。
ぜひ手に取ってみて下さい!
この書籍も作品集ですが、上の書籍よりも深く学ぶことができます。上の書籍で広く浅く隈建築を知ったあとに、少し深掘りする、という使い方が良いと思います。
図面なども載っていて、ボリューム感が良いです。とてもおすすめです。
言わずと知れた名著です。建築に携わるものとして、読むことは必須だと思います!
今日のプチコラム
案内所にもこのような本棚が新設されていて、ぜひそこも併せて訪れたいと思いました。
皆さん、明日も頑張りましょう!