【横須賀美術館】山本理顕のつくる水色のガラスのハコ

自分撮影。
横須賀美術館・外観。

概要

さて、本日紹介する建築は横須賀美術館です。これは、その名の通り、神奈川県の横須賀にある建物で、2006年に竣工しました。
ガラスに覆われたこの建築は、周囲の自然との調和を一番に考え作られました。そのため、丘の様な見た目の芝生ですが、この中には展示室が埋まっているんです!

ここで少しだけ自己紹介をさせてください。「一日一建築」と称して毎日自分の好きな建築について発信しています著者のちぇりーです!
このサイトの特徴として、建築学生が建築計画という観点から評価するというところで、ボリュームは少し多めですが、その分、建築についてより深く学べると思うのでぜひ見てみて下さい!

見どころ

自分撮影。
エントランスを見る。

横須賀美術館のエントランスが、正面の大きな丸です。
そこから入ってすぐ地下の展示室から一階にかけての吹き抜けにかかるブリッジを歩いてこちらに向かってくる、というアプローチとなっています。
ここでは、後で向かう展示室を少し覗くことができ、非常に印象的でした。

自分撮影

この「丸窓」で有名な作品ですので、この「丸窓」の使い方に注目です!
この「丸窓」は、建築的には、展示物へ過剰に光が当たりすぎて変色してしまうことを防ぐためのものであるとも考えられます。しかし、この「丸窓」からしか外から中が見えないことによって、わくわく感を増す工夫にもなっているのではないでしょうか?

建築としての評価は?

建築家

今回の設計は、山本理顕氏の設計です!以下の記事にて紹介していますのでぜひご覧ください。

【山本理顕】

概要 本日紹介するのは、山本理顕氏です。彼は、とても洗練されたデザインで有名でしょう。ハコ型も併せ、とても抽象的なものを建築にすることに長けています。 ここで少…

コンセプト

実際に訪れた際のアプローチ動線です。

自然との調和」です。

そのため、外から見たときに低層になるよう、多くの機能を地下に埋めること、山並みと似た色合いになるようなガラスを使ったこと、ダブルスキンとすることで透明なガラスと中の建物の間に緩衝地帯を設けたことという三つの工夫があります。
この「緩衝地帯」については、「ディテール」の項で説明します。

機能について

美術館です。
外から見ると、低層に見えますが、地下二階、地上二階の四階建てです。

自分撮影。
階段スペースより、地下一階展示室を見る。

上の写真の、外の光が入ってこない丸い穴は何のためにあるのでしょうか?これは、空調を厳正に管理するため、温度と湿度を図るため吸気する穴となっています。窓と目的は違いますが、同じ形で作ることで、統一感がありますね。

自分撮影。
エントランスホールを見る。

丸い穴がいくつもポコポコと空いています。
この「丸窓」は、従来閉じた白い箱として作られてきた美術館を、中にいても外の光が感じられる、開放感がある空間にしたいとの思いから作られました。

外観

後ろ三方が森に囲まれ、前面が海に面しています。
海側からのアプローチの美しさはもちろん(最初の写真)、山側からのアプローチも面白いです。
地続きでいつの間にか建物に入り、かと思ったら東京湾の美しい景色と、魅力的なガラスに囲まれた建築がある。そして、建物の中に引き込まれます。

内観

展示室内は写真禁止でした。(*現在についてはご自身で公式サイトから問い合わせてください。)
その一方で、展示室外からでも展示室内の様子を見ることができ、どこにいても他の人の活動が見え隠れする魅力的な場所でした。
以下の写真でも、階段状の吹き抜けが下の階の人の気配を感じさせますね。

自分撮影。
図書館を見る。

図書館は、2階にあり、エレベーターから出たあと長いアプローチを通り、窓や吸気口と同様、丸くくりぬかれた壁の中へ入るとあります。

ディテール、素材など

自分撮影。
エレベーターで最上階へと登る途中に見えた、

先程コンセプトの項で、この建物の特徴の一つとしてダブルスキンであることが挙げられる、と書きました。そうすることで、透明なガラスと中の建物の間に緩衝地帯を設けています。緩衝地帯を設ける、という工夫は、透明なガラスを通して外の光を取り入れたり、中の白い壁と天井で展示物を守ったり、それと同時に東京湾からの塩害を防いでいました。外はガラス、内は鉄で作られています。

鉄の箱は、横須賀の造船技術によって曲げられ、角のない作りになっています。とても印象的ですよね。

さらに、透明な螺旋階段とエレベーターからは、このガラスの箱と鉄の箱の間の構造が見えます。

図面より見る計画

自分撮影。館内にあったマップ。

写真がなくて申し訳ないのですが、最上階のテラスはなぜか曲線でした。正直すこし、丸というコンセプトは...?となってしまいました。

最後に

このブログでは、「一日一建築」と称し、毎日いろいろな建築家の方の建築を紹介しています。よかったらご一読ください。↓
Pioneer Of Attractive Archi – より深く名建築について知ることができるサイト。 (attractive-archi.tech)

昨日紹介した建築はコチラ!

【ミース・ファンデル・ローエ】近代建築の三大巨匠の一人を追う。

概要 こんばんは!「一日一建築家」と称して毎日自分の好きな建築家について発信しています著者のちぇりーです!このサイトの特徴として、建築学生が建築計画という観点か…

参照サイト等

横須賀美術館|横須賀市 (city.yokosuka.kanagawa.jp)
建築について | 美術館について | 横須賀美術館 (yokosuka-moa.jp)

【横須賀美術館】山本理顕のつくる水色のガラスのハコ” に対して1件のコメントがあります。

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