【風(六甲)の教会】安藤忠雄の「教会三部作」アプローチ動線が高める期待の先には…!?

概要
さて、本日紹介する建築は風(六甲)の教会です。設計は、安藤忠雄建築研究所です。竣工は1986年です。
上の写真は、六甲ミーツアート2025というアートイベント開催中に訪れた風の教会です。
写真のように、岩崎貴宏さんというアーティストの方の、「Floating Lanterns」という作品が展示されていました。
このアートも相まって、最高の建築体験になりました。以下で詳しくご紹介します!
ここで少しだけ自己紹介をさせてください。「一日一建築」と称して一日に一つ、自分の好きな建築について発信しています著者のちぇりーです!
このサイトは、一級建築士の資格取得に向け勉強する建築学生が、作り手の目線に立って紹介するという特徴があります。そのため、使い手の目線よりも、建築についてより深く学べると思います。ぜひ見てみて下さい!
見どころ
安藤忠雄さんの設計された建築は、シークエンスが非常に大事に設計されているな、と思います。

自然豊かな場所に突如として現れる長い回廊は、その先の建築への期待を高めます。
この建築の見どころは、教会自体ももちろん、そこへのアプローチとなる回廊にもあります。
教会へと向かう信者たちが、日常生活から祈りの場へと、心をゆっくりと切り替えられるよう設計されているのでしょう。

長い回廊の先、とてもゆったりとした階段を降りると、右側に教会の入り口があります。
ここまで来ると、前面の道路からもかなり離れている位置になるので、本当に静かでした。

中に入ると、このような空間が広がっています。なんとも静謐な空間でした。
この建築の特徴である、数々のスリットからは、自然光が差し込み、それが壁面を照らすことで、自然光によってつくられる間接照明のように美しい光を演出していました。
神父さんがいらっしゃるであろう、奥にはトップライトから光が差し込み、神秘的な空間となっていました。
教会であるため、左の窓ガラスは逆十字架を模した構造があり、なんと光が差し込んだときに床に十字形を映し出すそうです。
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公式サイト(営業時間、アクセス等)
公式サイト:神戸市 | 日本 | 【公式】風の教会ホームページ
現在は、六甲ミーツアートの期間を除くと、残念ながら一般公開はしていないそうです。ただ、結婚式や前撮りなどは受け付けていそうですよ。
*25/10/30時点での情報となります。
恐れ入りますが、現在「風の教会」はご利用・ご見学の受付けを停止しております。
夏〜秋の期間のみ「神戸六甲ミーツ・アート」の会場として公開されています。
神戸市 | 日本 | 【公式】風の教会ホームページ
内部のご見学にはぜひ「神戸六甲ミーツ・アート」の期間をご利用ください。
もし行く機会がありましたら、車でのアクセスがおすすめです。
現地には公共交通機関はバスしかなく、少し不便かもしれません。
シークエンス
見どころのところで述べた通り、この建築の特徴が考え尽くされたシークエンスです。
さらに、長い回廊まで向かうところにも秘密があります。

これが、長い回廊までのアプローチですが、次の図面で説明するように、安藤忠雄さんの設計の建築によく見られるのですが、
「一旦外側を見せることで、見てほしいところに集中させる作戦」
ですね。これは、安藤忠雄さんの設計した「教会三部作」の中の光の教会でも見られた特徴です。
わざと回廊に一直線のアプローチ空間とするのではなく、一旦別の角度にアプローチ動線を振ることで、回廊以外の場所を見せています。人は、自分が確認していない場所があると不安になってそちらを見てしまう習性があるため、この工夫によって、安心して回廊を見ることができるという効果があります。

建築としての評価は?
建築家
今回の設計は、安藤忠雄建築研究所の、初期の作品です。
コンセプト
建築の素材を究極的な裸形の物体にまで還元することで空間を純化し、かつてロマネスクの修道院建築がもった精神的な世界を甦らせ、現代の教会堂をつくり出すことが狙いであった。
(安藤忠雄さんの言葉)六甲の教会 | プロジェクトトップ | 新建築データより引用
機能について
礼拝堂と、そこへと向かう回廊(コロネード)で成り立っています。
実際に訪れてみると、礼拝堂はほとんどワンルームの空間の為、そんなに規模は大きくありません。
敷地
神戸県の六甲山山頂付近にあります。
設計プロセス
安藤忠雄さんは、プロヴァンスに位置する中世ロマネスクの修道院、「セナンクの修道院」を参照していたといいます。
この回廊があることが不思議だな、と思っていたのですが、ロマネスク以前には、回廊を持った教会があって、そのような教会を参照したそうです。

外観

非常に自然豊かな土地に建っていることがわかりますね。
回廊と礼拝堂、その上に立ち上がる塔という少ない要素でつくられています。
内観

回廊の先には、緑が広がっていて、どんどんと奥へ引き込まれていくようなアプローチでした。
このヴォリュームは、2.7mの立方体フレームの連続でできている、40mにも及ぶ回廊となっています。このフレームは、側面はコンクリート打ち放しで、天井はH鋼とヴォールトの連結によってできています。ここは、両端に壁がなく、屋外となっています。
回廊を抜けた先では、右に90度曲がったところに礼拝堂への入り口があります。
この奥へ進み、Uターンするような形で礼拝堂の中へ入っていきます。


少し閉塞的な空間から一気にぱっと開けた空間に出るシークエンスが演出的です。このシークエンスでも、180度振り返らせているので、背後が見えていないと不安になる人の習性を見越したシークエンスがしっかりと考えられていますね。
所々に見られるスリットが自然光を壁面に映し出し神秘的な空間を作ります。




図面より見る計画
筆者作成のトレース図面です。
図面からは、自然光を壁に映し出して演出的にする効果を持つ、スリットが多いことが特徴的だとわかります。

感覚図面
「感覚図面」は、筆者が個人的にやっているプロジェクトです。建築に行った体験と実際の図面の差異を記述する試みをしています。
左から、感覚図面、合成したもの、右が実際の図面になります。



最後に
まとめ
今日紹介した建築は、風の教会という安藤忠雄建築研究所の初期の建築でした。
このブログでは、「一日一建築」と称し、いろいろな建築家の方の建築を紹介しています。よかったらご一読ください。↓
Pioneer Of Attractive Archi – より深く名建築について知ることができるサイト。 (attractive-archi.tech)
昨日紹介した建築はコチラ!
参照サイト等
・神戸市 | 日本 | 【公式】風の教会ホームページ
・六甲の教会 | プロジェクトトップ | 新建築データ
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