【レ・アール国際設計競技案】伊東豊雄氏が作る

概要
こんばんは!「一日一建築」と称して毎日自分の好きな建築について発信しています著者のちぇりーです!
このサイトの特徴として、建築学生が建築計画という観点から評価するというところで、ボリュームは少し多めですが、その分、建築についてより深く学べると思うのでぜひ見てみて下さい!紹介している建築については、今とても注目を集めるパラメトリックデザインを用いて設計されたものを紹介していますので、ぜひ見てみて下さい!
さて、今日の建築は、「レ・アール国際設計競技案」です。これは、2007年の設計競技応募案になっています。この案は、残念ながら実現しなかったものの、最後の二案、、、!というところまで行きました!
設計はかの伊東豊雄氏!彼は、新国立競技場のコンペで隈研吾氏と最後まで競っていた方です。
建築としての評価について
建築家(構造設計)
今回の設計は、伊東豊雄氏です。
彼の作品には、代表作には、せんだいメディアテーク、ぐりんぐりん、TOD’S表参道ビル、台中国家歌劇院があります。

これが、ぐりんぐりんの鳥瞰となっています。とても印象的だと思います。環境に溶け込ませたい、という思いが伝わってくる建築となっています。ぜひチェックしてみて下さい。
また、難しいアルゴリズミックデザインを可能にするために重要と言える構造設計は、アラップが手掛けています。
アルゴリズムは?
構造体であり、デザインの核となっている部分です。
これは、「セイル(帆)」と呼ばれている構造壁です。それらは地下の既存構造グリッドの上に立ち上がっていて、回転上昇しながらその手を広げていきます。さらにそれらは、頂部では連結しながら網目状に拡散していきます。
また、これらはすべて同じ向きに回転し、その回転角は、30度と60度に標準化されています。これは、施工に有利にするためです。
このようにして、地上では開かれた広場にいるのに、うねる壁に分節された流動的な空間があることによって、移動しながら上昇する軌跡が創り出されています。
木々が育まれ森へと成長していくように、建築が生成される、増殖のプロセス、そして外部をも取り込んだ環境自体が建築であり、建築のイメージは断片的な空間体験の総体として認識される
高塚章夫(伊東豊雄建築設計事務所)
引用:国際設計競技応募案 Competition for “Les Halles” Les Voiles des Halles - 伊東豊雄建築設計事務所 | 新建築データ (shinkenchiku.online)
こんな風にして、コンセプトというものは、設計の最中や、むしろ終わった後に、じわじわと出てくるものなのでしょう。
プログラムについて

今回組まれたプログラムは、直行グリッドを基にしながら、その制約を超える空間形態を得ることを期待して組まれました。グリッドに関しては、今回のコンペでは大変厳しい条件があり、それは、地下の16m×11mの均質なグリッドを使わなければならなかったそうです。
この壁は具体的には、一つのシェルに対しては、実は三つの線で理解することができるのです。この形態は、一つの定まった水平面(敷地)に垂直線を立て、その頂点から任意の水平線を伸ばします。そこから定まる3点を結ぶシェル面を作る。それだけです。しかしとても複雑に見え、目標を達成していることが分かりますね。
コンセプト
伊東豊雄氏の建築の作風を踏襲した、建築を消すという取り組みです。
残念ながらこのコンペでは選ばれませんでしたが、この挑戦によって、グリッドが依然として持つ内なるシステムから、外に開かれた建築へと変える方法の一つを見つけたのでしょう。
機能について
上に述べたように、この敷地は複雑な機能が周りにたくさんあります。市民のための音楽学校、図書館、スタジオ、ウェルネス・スパ、カフェなどがあります。
しかしその交通等を妨げず、むしろ円滑にしながら、文化、情報、環境と健康という三つのゾーンを統合することが求められました。さらに、パリの中心を活性化し、21世紀の新たなシンボルとなることも期待されました。
この建築の構成材料、その寸法は?
構造壁は、厚み400㎜のコンクリートとなっています。なんと高さは14.7m、最大スパンは30mです。
ではどうしてこれで成り立つのか?
それは、一つでは弱いセイル(帆)の構造壁ですが、それを3つか4つ合わさったときにお互いが助け合う強いレシプロカル・ネットワークとなっています。
計画のはなし
環境・敷地計画
この敷地、レ・アールは、ダイナミックなポテンシャルを持つ、パリの混沌とした中心地です。そういわれる理由として、ここには、かつて「パリの胃袋」と呼ばれるほどの中央市場、パリ最大の地下鉄のジャンクション、高速道路、そして市民に開放された公園とがあります。
図面は?
新建築データに載っています。(ログインの必要があります。)↓
国際設計競技応募案 Competition for “Les Halles” Les Voiles des Halles - 伊東豊雄建築設計事務所 | 新建築データ (shinkenchiku.online)
最後に
今回は、写真が少なくすみません💦やはり実際に建っていないものは、調べるのも難しかったです。
しかし、アルゴリズミックデザインの手法を一つ自分のものにできたと思って、これからもお互いに頑張りましょ~!
このブログでは、「一日一建築」と称し、毎日、主に隈研吾氏の建築を紹介していましたが、ほかの方の建築も紹介しています。よかったらご一読ください。↓
Pioneer Of Attractive Archi – より深く名建築について知ることができるサイト。 (attractive-archi.tech)
昨日紹介した建築はコチラ!
参考書籍の紹介
今日から紹介する、アルゴリズミック・デザインの建築の設計プロセスが載っている本で、伊東豊雄氏の建築なども載っています。おすすめなのでぜひこの書籍をどうぞ読んでみて下さい。
下の書籍は、上の書籍を読んだ後に読むべき実践編の書籍です。Processingというプログラミング言語を使ったデザインの実践に関する書籍です。
その一方で、この書籍はProcessingよりも新しくできた、Rhino+Grasshopperというソフトを使ったアルゴリズミック・デザインをする初心者向けの書籍となっています。とてもお世話になっている、おすすめの本です!
参照サイト等
・アルゴリズミック・デザイン 編:日本建築学会
・伊東豊雄氏の代表建築20選 / 世界的建築家による革命的作品 - アーキペラゴを探して (mayuhama.com)
・国際設計競技応募案 Competition for “Les Halles” Les Voiles des Halles - 伊東豊雄建築設計事務所 | 新建築データ (shinkenchiku.online)
・10+1 website|世界建築レポート[6]パリ・レ・アール再開発計画──バルタールの亡霊を巡って|テンプラスワン・ウェブサイト (10plus1.jp)
・Les photos des 10 maquettes (accomplir.asso.fr)
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