【カプセルハウスK】黒川紀章が、カプセルで作った別荘。メタボリズム思想をそのまま反映した、機能ごとのカプセルでつくられた建築。
概要
さて、本日紹介する建築はカプセルハウスKです。設計は黒川紀章氏で、この建物は、彼自身の別荘です。
ここで少しだけ自己紹介をさせてください。「一日一建築」と称して毎日自分の好きな建築について発信しています著者のちぇりーです!
このサイトの特徴として、建築学生が建築計画という観点から評価するというところで、ボリュームは少し多めですが、その分、建築についてより深く学べると思うのでぜひ見てみて下さい!
見どころ
この断面図からは、斜面地であることを利用して三階建ての住宅としていることがわかります。
最上階がテラスで、中間階が数々の居室、地下階に寝室が一部屋あるという構成になっています。
中間階で右側に張り出している部分が「カプセル」です。
斜面地から張り出したこの建築内では、どこにいても眺望が良いでしょう。
また、この建物は、1973年に竣工した建物で、最近までなんと、47年間も使われていなかったそうです!
建築としての評価は?
建築家
今回の設計は、黒川紀章です。
彼は、メタボリズムを提唱し、それを建築で表したとして有名です。彼は同時に活動家でもあり、国内外で活躍していたため、国外の作品もあります。
私のブログでも紹介していますので是非見てみてください!
コンセプト
メタボリズム思想を形にした「カプセル建築」を実際に自分が使いたい。
という思いではないでしょうか。
メタボリズムと共生の実験。軽井沢に存在する、目立たないが目立つ建築。
そう黒川紀章氏は言います。
引用:カプセル建築プロジェクト|1973 カプセルハウスK (capsule-architecture.com)
しかし、外装は今までの建築(住宅カプセルや中銀カプセルタワービル(【中銀カプセルタワービル】黒川紀章のメタボリズムを表した作品。 - Pioneer Of Attractive Archi (attractive-archi.tech)))から大きく変え、コールテン鋼や、窓はドーム型にしています。
それは、以前の建築でもこの外装で設計していたが、設計敷地や法規の問題から実現できなかったためです。
そのため、これは黒川紀章さんが考えていたコンセプトに沿ったカプセルをやっと実現した建築なのです。
機能について
居室がカプセルによってできている、斜面地と一体化した住宅です。
初期においては、黒川紀章氏が別荘として使用していました。
コア・シャフト(カプセルでない部分)は、外壁をアルミで統一することで、コールテン鋼でできたカプセルが印象に残るような設計となっています。
図面より見る計画
リビングを中心にして、周りに茶室、寝室、厨房などの機能を持つカプセルがついていて、万博の際の「住宅カプセル」と中銀カプセルを合わせたような印象を受けます。リビングを中心に、ほかの個室をカプセルとしてつけた作品が住宅カプセルであるからと、中銀カプセルほどの大きさのカプセルを組みあわせているからです。
全て引用はカプセル建築プロジェクト|1973 カプセルハウスK (capsule-architecture.com)
すべてのカプセルが、全く違う印象を持っているので、一つの住宅ですが、他のカプセルに移動することで、何度でも楽しみがあるような住宅となっています。
必要になったら、必要な機能のカプセルを付け足す。
必要がなくなったら、そのカプセルを取る。
まさにメタボリズムという思想を反映した建築だということが、図面からも伝わってきます。
コンセプトを体現している建築としても傑作だと言われています。
内観
リビングから茶室カプセルを見る。
外側のアルミやコールテン鋼といった人工的で堅い素材とは打って変わって、内側では、木やカーペットといったより自然に近く柔らかい素材を使っています。周りが豊かな自然であることと調和するように感じられる内装ですね。
ディテール
他の洗練されたデザインとは打って変わって、この階段だけはごつごつとした印象です。
やはり、家の中でもいろいろな体験ができることが面白いと感じていたのでしょうか?
最後に
このブログでは、「一日一建築」と称し、毎日いろいろな建築家の方の建築を紹介しています。よかったらご一読ください。↓
Pioneer Of Attractive Archi – より深く名建築について知ることができるサイト。 (attractive-archi.tech)
昨日紹介した建築はコチラ!
参考書籍
カプセル建築を学ぶ上で、私がおすすめしている書籍です。
この書籍では、カプセル建築の写真や図面を主に掲載していて、図で理解できたのが良かったと思います。カプセル建築やメタボリズムを学ぶ初心者も中級者にもぴったりだと思います。
黒川紀章氏は亡くなってしまいましたが、息子さんやこのカプセルの使用経験がある方の対談も載っています。中銀カプセルタワーは解体されてしまいましたが、その記憶は確かにこの本に収められています。ぜひ手に取ってみて下さい!
参照サイト等
・書籍「黒川紀章のカプセル建築」鈴木敏彦
・カプセル建築プロジェクト|1973 カプセルハウスK (capsule-architecture.com)
・【新着記事】黒川紀章のカプセル別荘が宿泊施設へ。その全貌を徹底解剖! 長野で長らく眠っていた〈中銀カプセルタワービル〉の”兄弟”が目を覚ましました。黒川紀章が - MAGMOE
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