【黒川紀章】丹下健三から学んだメタボリスト。
概要
本日紹介するのは、黒川紀章氏です。彼は、建築家としてよく知られていましたが、一方政治活動家でもありました。そんな二足の草鞋の彼の思考は、社会的な意義の観点から作られています。より詳しく見てみましょう。
ここで少し自己紹介をさせてください。「一日一建築」と称して毎日自分の好きな建築家について発信しています著者のちぇりーです!
このサイトの特徴として、建築学生が建築計画という観点から評価するというところで、ボリュームは少し多いですが、その分、建築についてより深く学べると思うのでぜひ見てみて下さい!
建築家
どんな人?
黒川紀章(1934-2007)は、東京大学大学院を卒業していて、丹下健三事務所にて働いていました。
彼は、学生のころから活動家で、国際的に活躍していました。また、都市計画にも興味を持ち、多数の都市計画を発表していました。
そんなかれは、わずか26歳で、世界デザイン会議にでて、建築家の浅田孝、菊竹清訓、黒川紀章、大高正人、栄久庵憲司、粟津潔、槇文彦と建築評論家の川添登とともに、メタボリズムを提唱しました。
ここから、彼の建築は始まりました。
建築思想、研究内容
メタボリズムです。
これは、簡単に説明しますと、変化する社会に合わせて有機的に成長する都市や建築を作ることです。
交換可能なパーツを組み合わせることで、交換が必要になったものだけ交換すればよいため、エコにもなります。
また、50年ほどまえなのに、ノマド的生活(動きながら働く)のようなものを想定し、カプセルで移動可能な建築を作っていました。また、そのカプセルでは仕事ができるようにデスクなどが備え付けられていて、これが、今のカプセルホテルへとつながっています。
交換可能なカプセルとして設計された中銀カプセルタワービルなどが代表作に挙げられ、そのカプセルは結局最後まで交換されることはなかったのですが、それは国内外の美術館に展示されることが決まったり、カプセルホテルが普及したりと、彼は亡くなっても、彼の思想は生きていることが分かりますね。
どう意匠設計に生かすか
時代の先を行く思想を掲げ、それに全力で進むことです。
正直彼の設計がとても良い、と思うわけではありませんが、自分で掲げた思想を最後まで貫き通し、全力で建築作品としてそれを表現したことがとても評価されていると思うし、見習いたいと非常に思います。
今の日本では、新国立競技場のように、できるかできないかわからない、最先端の技術や工法を使った設計は避けられるようになってしまっています。
しかし、彼が成し遂げたように、またはエッフェル塔がそうであるように、時代の先を行くつもりで設計し、それを実現させることができれば後世に残される建築となるでしょう。
※これは個人なりの感想・見解です。
代表作
中銀カプセルタワービル
これは、黒川紀章氏の設計の中で一番有名で、かつ日本で一番メタボリズムを明快に示す建築となっています。ぜひ見てみてください。
Expo70 タカラ・ビューティリオン
この建築は、Expo70、つまり大阪万博の際に、黒川紀章氏が作ったメタボリズム初期のユニットからなる建築です。
このユニットは、面白く、鋼が12本曲がった状態で水平垂直どちらにおいても十字形をしてくっつけられたもので構成されています。
Expo70 住宅カプセル
これも同じく大阪万博の際に作られたもので、なんと、あの太陽の塔の周りの大屋根トラスからぶら下がっているのです!
しかし、上のタカラ・ビューティリオンとは異なり、一つのカプセルは部屋単位で、そのユニットで、一つの住宅となっています。
この大阪万博のテーマ・宇宙にぴったりの外観の当時新しい住宅ですので、以下のサイトもぜひご覧ください。
カプセルハウスK
この建築は、黒川紀章氏が自分の別荘として作った建築で、住宅カプセルと同様、部屋単位のカプセルとなっていて、さらに、様々なテクスチャを使っていたりと、当時の彼の理想のカプセルとして作られたと思います。
そんな建築をぜひご覧ください。
寒河江市役所

まさに、「浮いている」建築でした。モダニズム建築の傑作だと言われています。
ゴッホ美術館別館
クアラルンプール国際空港
どのような評価を得ているのか
建築家として有名ですが、彼は活動が活発なので、国際的にも活躍しています。
その建築作品、というより、それを一気通貫する建築思想、特にメタボリズムに注目されることが多いですね。
彼は磯崎新氏とはあまり仲がよくなく、大学以後交流はなかったそうですが、黒川紀章氏の訃報を聞き駆け付けた磯崎新氏が、
「いつも君の仕事を見て刺激になっていた」
そう話したそうです。建築家どうしても評価されていたのですね。
著書
彼も多数の著書を出していますので、ぜひ見てみてください。
政治活動家ということもあり、やはり今後の人々の生活と、そこからどんな建築が必要とされるのか、という社会的な観点から語られていることが多いように思います。
メタボリズムに関する彼の書籍です。ぜひ手に取ってみて下さい!
最後に
このブログでは、「一日一建築」と称し、毎日様々な方の設計した建築を紹介しています。よかったらご一読ください。↓
Pioneer Of Attractive Archi – より深く名建築について知ることができるサイト。 (attractive-archi.tech)
昨日紹介した建築はコチラ!
建築家ルイス・カーンの名作です。ぜひご覧ください。
参考書籍
黒川紀章氏の、カプセル建築というメタボリズム思想により作られた建築を学ぶ上で、おすすめの書籍です。
この書籍では、カプセル建築の写真や図面を主に掲載していて、図で理解できたのが良かったと思います。カプセル建築やメタボリズムを学ぶ初心者も中級者にもぴったりだと思います。
黒川紀章氏は亡くなってしまいましたが、息子さんやこのカプセルの使用経験がある方の対談も載っています。中銀カプセルタワーは解体されてしまいましたが、その記憶は確かにこの本に収められています。ぜひ手に取ってみて下さい!
参照サイト等
・黒川紀章氏の応援、1日延期へ | ポット出版 (pot.co.jp)
・メタボリズム - Wikipedia
・KISHO KUROKAWA
・故黒川 紀章の代表的な作品やメタボリズムによる設計思想 - 不動産売却のいろは (realestate-iroha.jp)
・二拠点居住とタイニーハウスを45年前から実践! 黒川紀章の名建築「中銀カプセルタワービル」を保存するべき理由。 | greenz.jp グリーンズ
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