【Expo70タカラ・ビューティリオン】
概要
さて、本日紹介する建築はExpo70タカラ・ビューティリオンです。この設計は、黒川紀章の設計で、大阪万博の際に作られたパビリオンです。
ここで少しだけ自己紹介をさせてください。「一日一建築」と称して毎日自分の好きな建築について発信しています著者のちぇりーです!
このサイトの特徴として、建築学生が建築計画という観点から評価するというところで、ボリュームは少し多めですが、その分、建築についてより深く学べると思うのでぜひ見てみて下さい!
見どころ
鋼管によってジャングルのような立体格子が構成されています。
中央には鉄筋コンクリートの幹があり、そこから枝が広がるように、立体格子が上下左右に展開されています。
これは、必要に応じて平面的にも垂直的にも増殖、切断することができます。
以上のことの実現によって、この建築は、メタボリズムを表した作品だといえます。
また、このパビリオンの機能は、展示だったので、その立体格子の中にステンレスカプセルを組み込むことで、その中を展示室としました。
建築としての評価は?
建築家
回の設計は、黒川紀章です。
彼は、メタボリズムを提唱し、それを建築で表したとして有名です。彼は同時に活動家でもあり、国内外で活躍していたため、国外の作品もあります。
私のブログでも紹介していますので是非見てみてください!
コンセプト
住宅よりも大きな規模でのメタボリズムの実現です。
住宅規模で黒川紀章氏がメタボリズムを実現した例は、代表的なものには中銀カプセルタワービル、Expo70 住宅カプセル、カプセルハウスKの三つがあります。それぞれ以下のサイトで紹介しているので見てみてください。
用途の変化に応じて、増殖、切除ができるような建築の、構造及び構法の技術をこの建築によって検討することができた、と黒川紀章氏は言います。
なんと、この立体格子ごとに徹底したプレファブを行ったことで、施工はたったの6日間で5層の建築ができたそうです。
機能について
機能としては、Expo70、つまり大阪万博の際に作られた展示室になります。
詳しい中身について見てみます。
この建物は、地下一階、地上4階でした。なんと、この立体格子を利用して、空中にも展示がありました。
地下一階:劇場、広場。ドライエリアがあったのですね。
一階、二階:展示室。「単位ユニット化された未来の生活」というテーマでした。
三階:ショーフロア。
四階:休憩フロア。「キッチンユニット、バス・トイレユニット」というテーマで展示を行っていました。
このように、この建物すべてを通して、「未来の建築」を表していたのでしょう。
空中に浮いた建築を作る、というのも黒川紀章氏の建築に頻出するので、この頃からそういった裏テーマを持ちながら設計に携わっていたのでしょう。
内観
このように、カプセル一つに一つの展示がはいっており、世界観が完成していますね、、、!
展示室だからできることですが、その部屋を一色で染めることで、部屋ごとに違った展示がされていることが明らかです。
図面より見る計画
ダイヤ型をした鋼管同士のジョイントが印象的な図面です。
Expo70 住宅カプセルとは、モジュール化されたものの組み合わせであることやカプセルを使った建築であることは同じですが、そのモジュールの形が全然違って、魅力的ですね。
ディテール
単位ユニットの一つは、鋼管4本を曲げたものを束ねてできています。
写真では見えませんが、木の幹として鉄筋コンクリートがあり、そこから、枝の部分として鋼管フレームが広がっている構成となっています。
メタボリズムとは、新陳代謝、という意味です。
新陳代謝する植物である樹木をメタファーにして、メタボリズムという思想から建築を作っているところも面白いですね。
最後に
最後に、私の個人的な意見ですが、この時代のように、最先端の技術や思想を使って建築する、ということが必要だと感じました。今の日本は技術力があるといって挑戦をやめてしまったところがあると思い、それではこの時代の建築家のように衝撃的なものはできないのではないかと考えました。
例えば、日本ではありませんがエッフェル塔のつくられた時代は、最先端の技術が使われました。一方で、スカイツリーは、技術の限りを尽くすよりも安全性がとられています。安全性も大事ですが、技術の限界で作られた建築はやはり美しいと感じます。
このブログでは、「一日一建築」と称し、毎日いろいろな建築家の方の建築を紹介しています。よかったらご一読ください。↓
Pioneer Of Attractive Archi – より深く名建築について知ることができるサイト。 (attractive-archi.tech)
昨日紹介した建築はコチラ!
参考書籍
黒川紀章氏の、カプセル建築というメタボリズム思想により作られた建築を学ぶ上で、おすすめの書籍です。
この書籍では、カプセル建築の写真や図面を主に掲載していて、図で理解できたのが良かったと思います。カプセル建築やメタボリズムを学ぶ初心者も中級者にもぴったりだと思います。
黒川紀章氏は亡くなってしまいましたが、息子さんやこのカプセルの使用経験がある方の対談も載っています。中銀カプセルタワーは解体されてしまいましたが、その記憶は確かにこの本に収められています。ぜひ手に取ってみて下さい!
参照サイト等
1,https://www.kisho.co.jp/page/108.html
2,https://sumally.com/p/672830
3,https://www.asahi.com/special/expo70/
4,https://www.expo70-park.jp/cause/expo/takarabeautilion/
5,https://reinbach-junbow.blogspot.com/2018/03/remember-expo-70.html
6,https://arqueologiadelfuturo.blogspot.com/2009/10/osaka70-ilas-exposiciones-universales.html
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