【犬島精練所美術館】動く素材を最大限に使った建築。

概要

こんばんは!「一日一建築」と称して毎日自分の好きな建築について発信しています著者のちぇりーです!
このサイトの特徴として、建築学生が建築計画という観点から評価するというところで、ボリュームは少し多めですが、その分、建築についてより深く学べると思うのでぜひ見てみて下さい!

さて、本日紹介する建築は犬島精練所美術館です。設計者は三分一博志氏です。

見どころ

出典:【犬島観光】精錬所、在りし日の残響。三島由紀夫の思想・信念に触れる旅。|おすすめの美術館 | 日曜、午後、六時半。 (nichiyogogo.com)

この退廃した雰囲気が建築好き心をくすぐります!

「在る」ものをみて今この世に「無いもの」をつくりだす、がコンセプトで、実際に使われていた精錬所を改修、進化させた美術館となっています。

建築としての評価は?

建築家

今回の設計は、三分一博志氏です。以下のサイトで紹介しているのでぜひ見てみて下さい。

【三分一博志】「動く素材」の建築家。

概要 こんばんは!「一日一建築」と称して毎日自分の好きな建築家について発信しています著者のちぇりーです!このサイトの特徴として、建築学生が建築計画という観点から…

コンセプト

動く素材を最大限に活用する、ということです。

大きなランドマークとなっている煙突は、空気を通しています。
暖かい空気は上るっていくという明快なことから煙突は空気の循環を起こします。

敷地

この地は、江戸期には石の産業で栄え、各地へと輸出されたそうです。
しかしその一方、その時に島の3分の2が切り取られてしまったともいわれています。

そのピークを終えると、今度は銅の精錬所が設けられ島は大層繁栄したそうです。しかしわずか10年で同の経済的価値の変化により精錬所は閉鎖。
その後100年近く廃墟として放置されていたそうです。

本当に人類による搾取され破壊されてしまった近代化産業遺産がありのまま残っている、そんな場所でした。
そこで彼は、その負の遺産となってしまったものを残しながら、ここに永遠と在り続けることができるものの形を探し出しました。

地球の動く素材の動力源を司るのは太陽であること。そして最後に頼るべきものは、大切にすべきものは、この永遠に変わらない価値である

書籍・三分一博志 瀬戸内の建築

機能について

美術館となっています。
精錬所にもともとあった煙突を利用し空気の流れを起こす設計になっていて、空気の流れが人々を案内してくれます。
そのため空調設備がないようです。

また、採光に関してもほとんど自然光を取り入れ、展示のため一部照明を利用しています。
上の図より、水を植栽によってきれいにするシステムも開発されました。

これらより機械設備がほとんどないことで、静かに展示に触れることができる空間となっています。

詳しく

では、なぜ煙突なのか?
これは、既存の煙突や犬島の調査より、風が東から西へと流れていることが分かったとき、煙突の入り口もすべて東側に設けられていて、風を入れようという試みが当時からされていたとわかったためです。

そのようにして取り込んだ空気は、写真の中央にあるサンルームで温められ、煙突から逃がすことで空気の流れを作っています。

内観

これはトイレですが、人間も地球の一部だという考えから、排泄物も肥料として植栽の栄養として利用されているそうです。
こんな、行けば行くほど環境にやさしくなる美術館行ってみたいですね!

また、写真のスケッチは、三分一博志氏が自ら施工時に描いたスケッチだそうです。これは男子トイレだそうですが、、、行ったときぜひ見てみて下さい!

建築を構成する材料

出典:犬島精錬所美術館 | アート・建築をみる | ベネッセアートサイト直島 (benesse-artsite.jp)

銅の精製錬の副産物であるスラグやカラミ煉瓦、犬島石などの既存資源を生かした計画とされています。

写真より、床やたくさん積まれているものがカラミ煉瓦です。海岸などに廃棄されていた1万7000個ものカラミ煉瓦を拾い上げ、再生したそうです。
カラミ煉瓦は熱を吸収、保守しやすいという特性があり、それを壁や床に使いました。

最後に

参考著書

三分一博志氏、待望の作品集です。
三分一さんは、多くの巨匠同様、自分の作品を振り返ることなく作り続けてきました。そのため作品集がなかったのですが、遂に発売されました!
彼の特徴であるリサーチから図面までしっかりと載っていて、おすすめです。一方で、彼の設計の過程などの文章量は少なめです…しかし三分一さんの本はこれの他にないため、私は即買ってしまいました。

JAという雑誌で三分一さんの作品の特集もありますが、英語版だしプレミアがついているのか高いです…泣
それでもよろしければ、ぜひお手に取ってみて下さい!

こちらも見てみて下さい!

この建築は、三分一博志氏特有の地形や気候を生かすものになっているのは当然のこととして、歴史や文化までをも活かした設計となっていて、彼の一番の代表作と言われています。
ぜひ行ってみて下さい!

このブログでは、「一日一建築」と称し、毎日、主に隈研吾氏の建築を紹介していましたが、ほかの方の建築も紹介しています。よかったらご一読ください。↓
Pioneer Of Attractive Archi – より深く名建築について知ることができるサイト。 (attractive-archi.tech)

昨日紹介した建築はコチラ!

【六甲枝垂れ(ろっこうしだれ)】三分一博志がつくる樹氷建築

概要 こんばんは!「一日一建築」と称して毎日自分の好きな建築について発信しています著者のちぇりーです!このサイトの特徴として、建築学生が建築計画という観点から評…

参照サイト等

・三分一博志 瀬戸内の建築
犬島精錬所美術館 | アート・建築をみる | ベネッセアートサイト直島 (benesse-artsite.jp)
おかやまの歴史的土木・近現代建築資産 | 犬島精錬所美術館 (civil-archi.okayama.jp)
犬島精錬所美術館 - - Arup アラップ
犬島精錬所美術館 - ARCHI'RECORDS(アーキレコーズ)- 建築紹介・建築探訪録 (archirecords.com)

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