【名護市庁舎】城のような、要塞のような。象設計集団の傑作

出典:沖縄の風土に溶け込んだ名護市庁舎 シーサーが守る建築 | 冨田秀雄建築アトリエ (ht-atelier.com)


概要

城のような、要塞のような、この市庁舎の建物は、ここ沖縄の風土や街並み、歴史を踏まえた建築となっています。
今まで市庁舎には役人と住民とのコミュニケーションを取る空間が足りませんでした。そこで、沖縄の街や風土に溶け込み、庁舎と街とを連続させ、コミュニティ形成の場にもなる「アサギ」テラスをたくさん散りばめた建築です。

アサギとは?

神あさぎのこと。神が降りてきて人々と交信する場所のことを指します。


行ってみるには?

見どころ

たくさん配置された「あさぎテラス」を見てみてください。
また、沖縄という土地との接続や、会話が生まれる建築の工夫を、ぜひ見てみて下さい!

出典:沖縄の風土に溶け込んだ名護市庁舎 シーサーが守る建築 | 冨田秀雄建築アトリエ (ht-atelier.com)

あさぎテラスのほかにも、このような長いスロープが設けられていて、そこでまた会話が生まれ、つながりが増えるのです。

公式サイトをまずチェック!

所在地

敷地は海の近くにあり、海との接続も考えられています。

出典:沖縄の風土に溶け込んだ名護市庁舎 シーサーが守る建築 | 冨田秀雄建築アトリエ (ht-atelier.com)

これが海側のファサードです。先ほどの町に面するファサードと同様、手前にぼこぼこと出ている「あさぎテラス」が印象的ですね。

アクセス

名護市役所へのアクセス方法は、自動車、バスがあります。
自動車で行く方法:那覇方面からなら一般道や沖縄自動車道を通って簡単にアクセスできます。
バスで行く方法:那覇バスターミナルから名護市役所前行きの20番・名護西線か77番名護東を利用するとよいです。那覇空港からは111番・高速バスもしくは沖縄エアポートシャトルで市役所までアクセスできます。

ご利用案内(営業時間、一般開放しているか、利用料金等)

名護市役所は現在でも、地元市民に利用されている公共施設です。
開庁時間:午前8時30分 ~ 午後5時15分
会庁日時:平日は市役所として利用できます。土日祝は閉まっいて、中で見学することはできません。
内部は一般的な役所のように各種相談や手続きできる部署がフロアごとに分かれているほか、アサギテラスと呼ばれるテラスでゆっくりできます。

もっと詳しく(独自の観点からの評価 )

建築家(構造設計)

象設計集団とアトリエ・モビルです。

コンセプトのプロセス

この建築の設計者を決めるコンペにおいて「そこに生きている確信を持てるようなものを要求する」とのこと。
象設計集団はそれにしびれたそうです。

それから、どのようなコンセプトにするのか、を考えるため、敷地調査、つまりフィールドワークを徹底してやるそうです。町を自分の足で歩き回り、その場所の人に話を聞き、花まで写真に収めるのです。

コンセプト

コンセプトの決め手となったのが、沖縄において有名な建築の、中村家自邸を見に行ったことだったそうです。
建物の内部と外部をつなぎ、コミュニケーションを発生させる庇が特徴的でした。

そこから、外部でも内部でもない、あさぎテラスという役人と市民とをつなぐ場所を今までよりもっと作るというコンセプトが生まれたそうです。
同時に、役人と市民をつなげるために、 沖縄の街や風土に溶け込ませること、庁舎と街とを連続させること、つまり市民 に開くことにたどり着きました。

出典:沖縄の風土に溶け込んだ名護市庁舎 シーサーが守る建築 | 冨田秀雄建築アトリエ (ht-atelier.com)

機能的提案

市庁舎にコミュニティ形成の場が少なかったことに警鐘を鳴らし、役人と住民でもゆっくりとコミュニケーションを取ることができる「あさぎテラス」を数多く配置しています。

外観

土地とつなげるというコンセプトの元、躯体は、沖縄のほとんどの建築で使われている鉄筋コンクリートを使いました。その中にアメリカから来た風を通す花ブロックがうまくはめ込まれています。これもフィールドワークからきているのでしょう。
鉄筋コンクリートを使ったのは、「そこに生きている確信を持てる」、つまり今この時間を生きていることが感じられるように、あえて朽ちる、時代を感じさせる素材であるからだと私は考えます。

また、沖縄を象徴する「シーサー」を所々に配置することで、この建物を守ってもらっています。

このように、様々な「沖縄」の要素を取り入れつつ、誰も見たことのない城のような、要塞のような設計が実現したのです。

全部新しい何々、となるんじゃなく、温故知新で、どちらもをうまく取り入れていくことが重要だなのだと感じました。

出典:沖縄の風土に溶け込んだ名護市庁舎 シーサーが守る建築 | 冨田秀雄建築アトリエ (ht-atelier.com)

これがシーサーです。たくさんの職人さんが一つ一つ作ってくださったそうです。

計画のはなし

平面・配置計画

一番の特徴は、「あさぎテラス」です。
そこにはプランターなどもおいてあり、集合住宅の様だそうです。

このように、集合住宅だと思わせるくらい、コミュニティ豊かな平面計画がなされているということでしょう。

断面計画

スロープが特徴的だと考えます。

動線計画 

出典:沖縄の風土に溶け込んだ名護市庁舎 シーサーが守る建築 | 冨田秀雄建築アトリエ (ht-atelier.com)

長いスロープが所々に設けられています。ゆったりと景色を見ながら職員が歩いて行きます。

構造計画

鉄筋コンクリートとなっています。

環境計画

沖縄という緑豊かな土地に、その自然に溶け込むように設計されています。

建築家界での評価は?

市庁舎には見えない建築スタイルと構造が評価されました。
完成した1981年の翌年1982年には日本建築学会賞を受賞。

以上のように、沖縄の名建築との評価です!
是非沖縄を訪れるときには行ってみて下さい。

まとめ

参照サイト等

沖縄の風土に溶け込んだ名護市庁舎 シーサーが守る建築 | 冨田秀雄建築アトリエ (ht-atelier.com)
建築と沖縄風土との融合「名護市庁舎」 | Daily Scenery (daily-scenery.com)
【沖縄】名護市役所は隠れた観光スポット!古代遺跡のような名建築を楽しもう - おすすめ旅行を探すならトラベルブック(TravelBook)

今日のプチコラム

あさぎテラスというある種の「余白」があることで、それを埋める人々の思いがあって、「空間」が「場所」になっていくのではないかなと感じました。

本日はお疲れ様でした。皆さん、明日も頑張りましょう!

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