【住吉の長屋】安藤忠雄のあの’衝撃の’デビュー作を、わかりやすく。

出典:住吉の長屋 写真一覧/安藤忠雄 (hetgallery.com)



概要

大阪の、間口2間・奥行き8間(間口3.45m、奥行き14.25m)という狭小敷地に建てられた建築。これが、安藤忠雄の衝撃のデビュー作となりました。

三軒長屋の真ん中部分、切り取りコンクリート住宅に建て替えた、安藤忠雄氏の代表作です。小さなスケールのコンクリートの箱を三等分し、真ん中に屋根のない中庭があるため、家の中なのに、通るためには雨の日は傘をさして移動する必要があるのです。

行ってみるには?

見どころ

上写真は、玄関を入って、リビングからダイニングの眺めです。

さやかなスケールの箱をさらに3等分し、真ん中に生活動線を断ち切る中庭を配置したことで、2階寝室からトイレに行くために手摺の無い階段を雨の日には傘をさして下りなければならない。
限られた敷地と予算のなか、建蔽率などの諸条件をクリアしながら通風・採光を確保し、豊かな空間をつくり上げるために無難な便利さを犠牲にし(人によっては許容できないものかもしれないが)、この場所で生活を営むにあたって本当に必要なものはなんなのかを徹底的に突き詰めた結果導き出された大胆なプラン。

公式サイトをまずチェック!

所在地

本当は今も同じ施主さんの暮らしている住居であるため、住所は非公開なのですが、グーグルマップに載っているという情報もありました。私調べでは、もう削除されてしまったのかありませんでした。

もっと詳しく(独自の観点からの評価 )

建築家(構造設計)

このサイトでいつも取りあげさせていただいている隈研吾氏と一、二を争う日本の建築家、安藤忠雄氏です。建築の初学者さんは、この二人をまず勉強して、良い建築に触れておくとよいでしょう。私は、本当にためになりました。

コンセプト

私がこの建築に関して感じたコンセプトは、三つあります。

・外に閉じ、内に開く
・自然のやさしさ、厳しさとの共存
・人を活かす

是非これらを意識して以下を読んでみてください!

機能的提案

住宅でこそ、自然とともにある生活を意識できるような建築でなくてはならない、と安藤さんは考えています。

デザインのプロセス

出典:中宮町の住宅(安藤忠雄氏の生家) (hetgallery.com)

安藤氏も幼少期から45歳になるまで、上写真のような下町の三軒長屋中宮町の住宅に住み、自然のやさしさや厳しさを肌で感じながら四季を過ごし、工夫して生活を営んでいました。その中で感じた、住まいに対する思い、「自然との共生」について考えつくされた建築だと思います。

さらにこの家は、住吉の長屋と同じ、 間口2間・奥行き8間 です。
また、この家の2階の増築時、天井をはがしたときに差し込んだ光が、普段見慣れた薄暗い室内を一変させたことに衝撃を受けたことが、光の教会など後の作品に大きな影響を及ぼしている。

外観

コンクリートの打ちっ放しは、

現場での一発勝負でしか品質を管理できない難しさへの挑戦、無機質なコンクリートを使って、あらゆる形と質感を表現するという挑戦

安藤忠雄 原点、住吉の長屋 | プロテアの翼 (ameblo.jp)

であると、安藤さんは語ります。

内観

出典:安藤忠雄 原点、住吉の長屋 | プロテアの翼 (ameblo.jp)

内部はこのようになっています。

「住吉の長屋」の特徴は、以下の3点です。
・開口部が入口以外にないこと
・すべてコンクリート打ちっぱなしであること
・狭い空間を3等分にし、中央を中庭にしたこと

安藤忠雄 原点、住吉の長屋 | プロテアの翼 (ameblo.jp)

すべてコンクリート打ちっ放しにしているのは、安藤氏が大切にしている、「建築はシンプルで、人を活かすものでなければならない」という信念から来ているのかもしれませんね。

計画のはなし

解体費を含めた予算が1千万円程のローコスト住宅でもありました。
この衝撃の建築は、予算との兼ね合いの中で生み出されたものでもありました。

図面は?

出典:住吉の長屋 写真一覧/安藤忠雄 (hetgallery.com)

この住宅の間取り図です。

平面・配置計画

上の写真にあります。

動線計画 

一番衝撃であり、この建物の特徴です。
リビングからダイニングへの、雨の日は傘を差さなくてはならない「中庭」を通る動線は、見るものに興味を湧き起こしました。

構造計画

RC造です。

環境計画

出典:建築の原点 安藤忠雄「住吉の長屋」 : 建築家 林幸稔 の HP (cocolog-pikara.com)

自然や四季を感じられる、というコンセプトでありますが、狭小敷地のため木などは植えられていません。しかし、このような写真を見ると、ただのコンクリートの箱であるにもかかわらず、周りの住居に植えられている気を見ることができ、それと調和しているように感じます。

このような効果も、安藤氏がコンクリートの目地などにもこだわっていることから来ているのかもしれませんね。

建築家界での評価は?

この、言ってしまえば「不便極まりない」建物は、多方面から物議をかもしました。

このような住宅は、一見設計者の思想を押し付けたように感じられるかもしれませんが、自然と共に生き、終の棲家としてこれからも住み続けようとする施主の存在が、今も四角い箱を豊かな生活を営む「家」として息づかせています。

まとめ

参照サイト等

中宮町の住宅(安藤忠雄氏の生家) (hetgallery.com)
住吉の長屋 写真一覧/安藤忠雄 (hetgallery.com
安藤忠雄 原点、住吉の長屋 | プロテアの翼 (ameblo.jp)
建築の原点 安藤忠雄「住吉の長屋」 : 建築家 林幸稔 の HP (cocolog-pikara.com)

今日のプチコラム

皆さんはこの家に住んでみたいと思いますか?
私は一週間だけ住んでみたいです!

皆さん、明日も頑張りましょう!

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