【小松マテーレの「ファーボ(fa-bo)」】隈研吾氏の画期的な建築が時代を変えた。

概要
小松マテーレ(旧小松精練)の本社敷地内に、企業ミュージアムとして、2015年に完成した素材開発ラボ「ファーボ(fa-bo)」。隈研吾氏が、小松マテーレの開発している素材を活用しながらリノベーションしました。
ここから小松マテーレと隈研吾氏の協働が始まりました。
そして、国立競技場での外周プランターや屋上庭園でもこの小松マテーレが開発した素材が使われることとなりました。それも展示にあります。
行ってみるには?
見どころ

なんといっても、この周りに張り巡らされた糸のようなもの。
これは、実際にこの小松マテーレという会社は繊維会社の研究開発を行っていて、そこで開発された熱可塑性炭素繊維複合材料が全面的に使用されています。
また、このミュージアムでは以下のような展示等が行われています。

建築資材の展示です。
このfa-boにとって重要な素材である炭素繊維ロッド「カボコーマ・ストランドロッド」はもちろん、最新の耐震補強用建材を展示しています。

これは、小松マテーレの染色技術を生かした染色体験の写真となっています。マスク、巾着、コースター、メガネ拭きの四種類から好きなものを選ぶことができます。
他にも、小松マテーレがこれまで蓄積してきた5万点にも及ぶ生地のサンプルも閲覧することができます。
体験の予約はコチラから↓(現在受付準備中となっています。)
【石川・能美市】新たな発見!小松マテーレで繊維の世界を体験しよう | アクティビティジャパン (activityjapan.com)
公式サイトをまずチェック!
小松マテーレ公式サイトです。
営業時間等(一般開放について)
2021年10月1日より一般公開されています!
開館時間は、10時30分~17時で、火曜は休館となっています。
利用料金
〈fa-bo〉の見学は、展示品などの説明を行うアテンダントがつくツアー形式で、以下のコースが設定されています(要予約、カッコ内は所用時間)。
fa-bo見学コース一覧(アテンダー同行)
・fa-bo見学+ワークショップコース(所要時間:120分、料金:500円)
・fa-bo見学コース(所要時間:60分、料金:無料)
もっと詳しく(独自の観点からの評価 )
建築家(構造設計)
国立競技場も担当された隈研吾氏です。国立競技場の設計の際に、この小松マテーレの開発した素材を使っています。興味がある方はぜひ調べてみてください!
この建築の一般公開にあたりコメントをされたようです。
隈研吾(要約)
カーボンファイバーでの補強は難しかったが、小松マテーレが、持続可能な社会づくりのために材料メーカーとして何ができるかという観点から、熱意を持ち、協働してくれたおかげで実現した
コンセプト
素材を扱っている会社ならではの「布をふんわりとかけたようなデザイン」。
さらには、この会社の新素材を使った、屋上庭園を設けるなど持続可能な社会づくりに貢献するということが念頭にあったと思います。
機能的提案
隈研吾氏は、石川の繊維産業発展の歴史において大きな役割をになってきた小松マテーレにだからこそ、外観から「布」をふんわりとかけたようなデザインを提案しました。
ちなみに、この会社、小松マテーレでは、抗ウイルス素材を用いた新型パーテーション「PPSA」が新たに開発されました。
これは、建築家の板茂氏による避難所向けパーティションシステム『PPS』をベースとしてこの会社の抗ウイルス素材を使用し創り上げられたものです。その写真がこちらです。

板茂氏にも興味がある方は、板茂氏の災害支援活動などを含め、より深く調べてみてください!
デザインのプロセス
小松マテーレは、ファッション素材の会社です。そのため、上から見た時にふんわりと布をかけたような印象にもこだわったそうです。
このように、建物だけにこだわるのではなく、その建物の中身を、オフィスならオフィス、とみるのではなく、どのような会社のオフィスが入るのかしっかり見ることによってデザインに多様性が生まれるのだなと思いました。建物の内部の機能とコンセプトとの関係をしっかりと把握することが重要だと思いました。
ちなみに、皆さんおなじみのRhinoというソフトでも、布をかけたようなデザインを設計することができます。そのコマンドがdrapeです。よかったら使ってみてください。
外観

ロッドは、屋上から広がっています。屋上からのロッドの見え方としては、空に広がっていくような放射状になっているそうです。
この美しい屋上庭園に、かの国立競技場でも使われた小松マテーレ独自の素材が使われています。
内観
外観ばかりが気に留められる作品ですが、ロッドによる構造的な工夫が内観にも表れています。
下に述べてあります。
計画のはなし
図面は?
調べて見た限り載っていません。
改修のため、内部にあまり注目されていないためだと考えられます。
構造計画
外観に偏ったデザインだ、と考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、このロッドによって、目的の一つであった耐震補強をクリアしているのです。
室内に張ったロッドが構造的に重要な役割を果たしています。
逆方向の斜め張りを交差させて重ねています。それによって奥の同様のロッドのメッシュのようなものが重なって見えます。
環境計画
このDrape(布がかかったような炭素繊維の糸によるひだ)の内側からの見え方が良いそうです。なぜなら、このひもがぬをかけたようにふんわりと波打っていることによって、景色の見え方にもグラデーションが生まれるからです。
建築家界での評価は?
耐震補強の方法とイメージを一新させた建築だ、これが新しい時代だ、と言われるほど話題になったそうです。
まとめ
参照サイト等
・隈研吾氏が手がけた小松マテーレのファブリックラボラトリー〈fa-bo〉が一般公開を開始 |CULTURE|TECTURE MAG(テクチャーマガジン)
・【石川・能美市】新たな発見!小松マテーレで繊維の世界を体験しよう | アクティビティジャパン (activityjapan.com)
・1. 新たな発見!小松マテーレで繊維の世界を体験しよう - GEMBA(ゲンバ) モノヅクリエキスポ (gemba-project.jp)
・ウイルスからあなたを守りたい!建築家・坂 茂氏監修 抗ウイルス加工の新型パーティション「PPSA」誕生|小松マテーレ株式会社のプレスリリース (prtimes.jp)
・『隈研吾建築図鑑』 画・文:宮沢洋
・建築家の隈研吾さんの建築模型 - 小松経済新聞 (keizai.biz)
・小松マテーレは、世界に冠たる「先端ファブリックメーカー」になるという強い意志を持ち、人と素材のベストコミュニケーションと、そこから生まれる新しい価値の創造をめざします。 (komatsumatere.co.jp)
今日のプチコラム
個人的なこの建物の一番好きな場所は、ベターですが、この美しい外観です。なんといってもどの方向から見ても違う表情を醸し出したり、糸のグラデーションで白い色の濃さが変わるところが素敵だと思います。
最近話題になっている炭素繊維も興味深いので、一度見に行ってみたいと思います。
最後に、自分が隈研吾氏の建築のブログをはじめてみよう!と思ったきっかけとなった本を紹介します。
イラストが多く、とても理解しやすかったのでオススメ中のオススメです!!
参考書籍
隈研吾氏の建築を学ぶ上で、私が一番におすすめしている書籍です。
図解でわかりやすく、かつ明快な分類でまとまっていることがこの本の特徴です。初心者の私でも読むのが楽しく、かつ建築学生として有用な知識が詰まっていました。
隈研吾建築の変遷を全体的に捉えること、一つ一つの建築の特徴を理解すること、というどちらものアプローチで学ぶことができます。
ぜひ手に取ってみて下さい!
言わずと知れた名著です。建築に携わるものとして、読むことは必須だと思います!
施設概要
施設名称:小松マテーレ ファブリックラボラトリー〈fa-bo〉
所在地:石川県能美市浜町ヌ167番地 小松マテーレ本社敷地内(Google Map)
入場料:無料(ワークショップへの参加は有料)
営業時間:10:00-17:00
定休日:火曜、年末年始、GW、夏季休業期間(「mono-bo」の定休日に準じる)
予約受付開始日:2021年9月21日(火)
一般公開開始日:2021年10月1日(金)予定
予約方法:電話またはウェブサイトにて受付
予約専用電話番号:0761-58-0374(受付時間 平日10:00-17:00)
予約専用ページ:
https://www.komatsumatere.co.jp/cabkoma/fabo.html
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