【渡辺誠】アルゴリズムが作る都市について考え続ける
概要
こんばんは!「一日一建築」と称して毎日自分の好きな建築家について発信しています著者のちぇりーです!
このサイトの特徴として、建築学生が建築計画という観点から評価するというところで、ボリュームは少し多いですが、その分、建築についてより深く学べると思うのでぜひ見てみて下さい!紹介している建築や建築家の方については、今とても注目を集めるパラメトリックデザインに関するものを紹介していきます。
さて、本日紹介する建築家は、渡辺誠氏になります。建築家としてもとても有名で、知っている方も多いかと思われます。代表作に、地下鉄大江戸線飯田橋駅や、青山製図専門学校一号館があります。
是非見ていってください!
建築家(構造設計)
どんな人?
アルゴリズミック・デザインをしている方のなかで、建築家として有名になった一番最初の人だと認識されています。
彼の出生から簡単に説明します。
渡辺氏は1952年で、横浜市生まれです。
1976年に横浜国立大学大学院を卒業。
日本を代表する大高建築設計事務所・磯崎新アトリエの元で経験を積み、1984年に独立し渡邊誠アーキテクツオフィスを設立しました。
建築思想、研究内容
彼は、「誘導都市」と名付けられた都市設計の手法を、建築を使って実験しています。
その研究を進めていく中で、アルゴリズムの限界にぶち当たりました。それは、「数値にできない価値の創生」です。例えば、街区を歩いていると、「楽しい」といったことです。現在はこれをどう解決するかを試行錯誤しているようです。その試行錯誤の中で生み出した例としては、「歩いて楽しい道」が、「道のパターンの変化率の微分値」を使って設定しています。しかし、このアルゴリズムの有効性は保証されておらず、まだまだ課題が残る、とおっしゃっています。
建築設計においては、「変化する」ことをコンセプトに作ることが多いです。
そのため、波を打ったようなファサードを用いることがあり、実際にそれは、シークエンス(歩くとともに変化する情景)を生み出しています。代表作のつくばエクスプレス 柏の葉キャンパス駅に使われています。
また、「部分から全体をつくりあげる」誘導都市の方法論は、都市設計だけではなく、彼の建築の設計に大きな影響を与えています。以下で紹介している青山製図専門学校一号館も、部分から全体を作り上げたのでしょう。
どう意匠設計に生かすか
「変化する」という彼の建築思想や、「誘導都市」という都市の作り方が参考になると考えました。
前者の「変化する」においては、住宅など、建築という変わらないもの、を変わるものにすることによってみる人や使う人に飽きさせない、ということが重要なので、考えるべきテーマだと思いました。
後者の「誘導都市」という都市の作り方からは、私も現在悩まされている自分で設計する、か、必然的な設計をするのか、という重要な問いや葛藤が生まれると思います。誘導都市についてはこちらのブログで紹介があります。
また、彼の著書から私が学んだこととしては、アルゴリズムをこれからどう使っていくのがよいかです。アルゴリズムが未だ不得意な、直感的な部分は、自分が最初に設計し、それを評価し、また法規といった数値で基準が定められるものに沿わせる部分を、アルゴリズムを使う、ということが現状はベストなのでしょう。
このように、お互いに得意な部分を生かすことで、単独では成しえない高いレベルの成果品が期待できます。
日建設計という日本一の設計会社においても、「乃村工藝社本社(設計:山梨和彦)」というオフィスビルにおいて、このようなアルゴリズムを使っています。ぜひ調べてみてください!
※これは個人なりの感想・見解です。
代表作
都営地下鉄 大江戸線 飯田橋駅
青山製図専門学校一号館
部分は自由なのに、全体はまとまっていること
引用:MAKOTO SEI WATANABE | 渡辺 誠 (makoto-architect.com)
東京住宅
投稿を編集 “【東京住宅】渡辺誠氏の、生について考えた住宅” ‹ Pioneer Of Attractive Archi — WordPress (attractive-archi.tech)
こちらは以前私のブログで紹介しました。ぜひ見てみてください。
死を控える施主にとっての生と死について考えながら設計した建築です。
つくばエクスプレス 柏の葉キャンパス駅
この建築もこちらのブログで紹介しました。
上述のように、波打つデザインを使っています。
投稿を編集 “【つくばエクスプレス 柏の葉キャンパス駅】” ‹ Pioneer Of Attractive Archi — WordPress (attractive-archi.tech)
著書
流体都市、アルゴリズミック・デザイン、建築は、柔らかい科学に近づく
(公式サイトへと飛びます)
参考書籍の紹介
アルゴリズミック・デザインの建築の設計プロセスが載っている本で、伊東豊雄氏の建築なども載っています。おすすめなのでぜひこの書籍をどうぞ読んでみて下さい。
下の書籍は、上の書籍を読んだ後に読むべき実践編の書籍です。Processingというプログラミング言語を使ったデザインの実践に関する書籍です。
この書籍は、10+1の特集号で、アルゴリズミック・デザインが特集されています。
参考文献が少ない中で、アルゴリズミック・デザインに関わる建築家一人一人に焦点を当てて丁寧にそれぞれの活動を説明する、というボリューミーでとても参考になる書籍です。
中級者向けだと思いますので、初心者のかたは、上の書籍を見てからでもよいと思います!
その一方で、この書籍はProcessingよりも新しくできた、Rhino+Grasshopperというソフトを使ったアルゴリズミック・デザインをする初心者向けの書籍となっています。とてもお世話になっている、おすすめの本です!
最後に
このブログでは、「一日一建築」と称し、毎日、主に隈研吾氏の建築を紹介していましたが、ほかの方の建築も紹介しています。よかったらご一読ください。↓
Pioneer Of Attractive Archi – より深く名建築について知ることができるサイト。 (attractive-archi.tech)
昨日紹介した建築家はコチラ!
【中村拓志】 - Pioneer Of Attractive Archi (attractive-archi.tech)
参照サイト等
・アルゴリズミック・デザイン
・MAKOTO SEI WATANABE | 渡辺 誠 (makoto-architect.com)