【亀老山(きろうさん)展望台】ハコ物から、アナ型へ。隈さんの創る相乗建築
概要
こんばんは!「一日一建築」と称して毎日自分の好きな建築について発信しています著者のちぇりーです!
このサイトの特徴として、建築学生が建築という観点から評価するというところで、ボリュームは少し多めですが、その分、建築についてより深く学べると思うのでぜひ見てみて下さい!
さて、今日の建築は、愛媛県にある「亀老山展望台」です。なんとこの建築で隈さんは、「山を復元」したのです!
なぜかというと、瀬戸内海を見渡すことのできる敷地にハコ型で、シンボリックな物は似合わない。むしろ建築を「消そう」とした建築です。
行ってみるには?
見どころ
メインの写真にあります展望台ですね。夜景もとてもきれいです。
公式サイトをまずチェック!
公式サイトはコチラ↓
亀老山展望公園 | 観光スポット | 観光情報 | 今治市 (city.imabari.ehime.jp)
所在地
お問い合わせ先
営業時間24時間入園自由休日年中無休料金入園無料観光時間40分所在地今治市吉海町南浦487-4お問い合せ今治市役所吉海支所 住民サービス課
電話番号:0897-84-2111(代)
ファックス番号:0897-84-2115駐車場有(普通車18台・大型6台)・無料
アクセスやご利用案内(営業時間、一般開放しているか、利用料金等)については、コロナ下において変更の可能性もありますので、ご自身でHPのほうをご覧ください。
もっと詳しく(独自の観点からの評価 )
建築家(構造設計)
また隈研吾氏の設計した代表的な建築で、もっとも有名なのは、国立競技場です。
近作で、都内にあるものの中はスターバックス リザーブ® ロースタリー 東京、根津美術館、明治神宮ミュージアム、JR高輪ゲートウェイ駅、浅草観光センターなど多数あります。
このブログでは、「一日一建築」と称し、毎日、主に隈研吾氏の建築を紹介しています。よかったらご一読ください。↓
Pioneer Of Attractive Archi – より深く名建築について知ることができるサイト。 (attractive-archi.tech)
昨日紹介した建築はコチラ!
コンセプト
建築の消去、です。
デザインのプロセス
本当は、瀬戸内海の島々を見渡すことができるこの場所だから、と町のシンボルを建ててほしい。そう町長さんにお願いされていたそうです。しかし、この高い山の頂を見た隈さんは、驚きました。なんとフラットな駐車場になっているのです。
こんな豊かな自然の中に、場所と切り離されたハコ型建築を建てることはできない。そうしてこのアナ型の建築ができました。
機能的提案
人口が八千人の町には、それまで劇場もホールもなく、芸能人が来れば、中学校の体育館で講演が行われたそうです。
そこで、隈さんは大階段に300人が座ることができるよう仕掛けました。展望台の予算で300人の劇場もついてきます、と。
外観
カットされた駐車場を、カットする前の山に復元した姿に、スリットのようにして展望台を切り込まれたようになっています。
外形がなく、形がない。樹木の間から大地に刻み込まれたスリットにわけ入り、大地に体ごと包みこまれる。
場所原論 隈研吾
隈研吾
この建築の構成材料
平らなところに森を復元したため、新たに土を盛った急斜面の緑化が難航した。まず土砂が流れないようにエキスパンドメタルという金網で抑えた。それを本体のコンクリート躯体とアンカーボルトでつなぎました。
このように、自然と人工物を完全に切り離せば話は簡単になるところに、自然と人工のつなぎ目を大切にして設計する。それが、垣根や庇をつくってきた日本建築の醍醐味でもあると隈さんは言っています。
建築家界での評価は?
写真よりも、実際の空間が想像以上に魅力的で、来て良かった度が200%と宮沢洋さん(隈研吾建築図鑑の筆者)は述べています。
本当に私も行ってみたくなりました
計画のはなし
図面は?
平面・配置プラン
隈研吾さんの公式サイトに載っています。公式サイトはコチラ↓
Kiro-san Observatory – 亀老山展望台 | Architecture | Kengo Kuma and Associates (kkaa.co.jp)
断面プラン
ギリシャの円形劇場のような断面形状をもつこの大階段には、300人もの人が座ることができます。
ギリシャ劇場が地中海の自然と一体であったように、この300人の劇場は瀬戸内海と一体です。
動線プラン
進んでもすぐに景色は見えず、期待とともに大階段を登るとはじめて眼下に絶景が広がるという仕掛け。一筆書きの順路でベイマツの集成材で架けられたブリッジや階段を巡りつつ、7カ所ある展望プラットフォームやデッキを巡り、様々な角度の景色を楽しむ事ができる。
亀老山展望台 | SETOUCHI ARCHI-TOURISM (setouchi-architourism.com)
これが、展望台近くの瀬戸内海の眺めです。東京に住んでいる私からしたら本当にあこがれの世界です。コロナが終わったら一番に行ってみたいと思います。
まさに、建築を消すことで、自然と一体化するということでしょうか。
この建築は、隈さんの自然環境と向き合うというやりたいことをやることができ、現在の隈さんの価値観の大きな一部分となっています。
まとめ
参考書籍
隈研吾氏の建築を学ぶ上で、私がいつも参考にさせていただいている書籍は、「隈研吾建築図鑑」という名前で、著者は宮沢洋さんです。日経の出している本なので内容は安心かつ、すべてイラストで構成されているため、とても読みやすいです。
図解でわかりやすく、かつ明快な分類でまとまっていることがこの本の特徴です。初心者の私でも読むのが楽しく、かつ建築学生として有用な知識が詰まっていました。
隈研吾建築の変遷を全体的に捉えること、一つ一つの建築の特徴を理解すること、というどちらものアプローチで学ぶことができます。
ぜひ手に取ってみて下さい!
この書籍も作品集ですが、上の書籍よりも深く学ぶことができます。上の書籍で広く浅く隈建築を知ったあとに、少し深掘りする、という使い方が良いと思います。
図面なども載っていて、ボリューム感が良いです。とてもおすすめです。
言わずと知れた名著です。建築に携わるものとして、読むことは必須だと思います!
参照サイト等
・隈研吾建築図鑑 画・文:宮沢洋
・場所原論 隈研吾
・大きな失意のなか地方へ、隈研吾氏に聞く(5)(新しい建築の鼓動2010) | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)
・しまなみ海道の絶景パノラマスポット!隈研吾が設計した「亀老山展望台」 | GENIC編集部 | GENIC | ジェニック (genic-web.com)
・亀老山展望公園|観光スポット|広島県公式観光サイト ひろしま観光ナビ (hiroshima-kankou.com)
・【写真】展望デッキBへの道が近未来的! | 愛媛県 | トラベルjp 旅行ガイド (travel.co.jp)
・Kiro-san Observatory – 亀老山展望台 | Architecture | Kengo Kuma and Associates (kkaa.co.jp)
・亀老山展望台 | SETOUCHI ARCHI-TOURISM (setouchi-architourism.com)
・亀老山はきつい。それでもしまなみ初心者には、是非登ってほしい風景が待っている。 - はじめてのしまなみ海道サイクリング (shimanami-cycling.net)
今日のプチコラム
隈研吾さんも本当に毎度の設計で進化させようと努力している、そしてその努力が実っているのだな、とわかりました。
皆さん、明日も頑張りましょう!