【陸前高田アムウェイハウス まちの縁側】地本の材と伝統で復興する
概要
こんばんは!「一日一建築」と称して毎日自分の好きな建築について発信しています著者のちぇりーです!。
このサイトの特徴として、建築学生が建築という観点から評価するというところで、ボリュームは少し多めですが、その分、建築についてより深く学べると思うのでぜひ見てみて下さい!
さて、今日の建築は、「陸前高田アムウェイハウス まちの縁側」です。この建築は隈研吾さん設計で、恥ずかしながらこの本を読むまで知りませんでしたが、自分の好きな伝統的な日本の木組みがあり、さらに隈さんの設計には珍しい大屋根があり、面白いと思います。ぜひ見ていってください!
この建築は、震災後にかさ上げされた地域に建設された木造のコミュニティ施設です。子育て支援施設やカフェ、観光物産協会などを、展望台のある大屋根で覆っています。
行ってみるには?
見どころ
この日本、いや地元の技術を使った日本建築のエッセンスを取り出してそれを昇華しているところです。
公式サイトをまずチェック!
所在地
もっと詳しく(独自の観点からの評価 )
建築家(構造設計)
隈研吾氏です。
この近くにも、南三陸町に橋を設計しています。ぜひチェックしてみて下さい。
ちなみに、陸前高田には、自分の好きなサルハウスという設計事務所の建築もあります。
この大屋根が特徴的な建築は、「陸前高田市立 高田東中学校」といいます。サルハウスは、「守口市立図書館」という建築に代表されます。今後紹介しますので、楽しみにしていてください!
また隈研吾氏の設計した代表的な建築で、もっとも有名なのは、国立競技場です。
近作で、都内にあるものの中はスターバックス リザーブ® ロースタリー 東京、根津美術館、明治神宮ミュージアム、JR高輪ゲートウェイ駅、浅草観光センターなど多数あります。
このブログでは、「一日一建築」と称し、毎日、主に隈研吾氏の建築を紹介しています。よかったらご一読ください。↓
Pioneer Of Attractive Archi – より深く名建築について知ることができるサイト。 (attractive-archi.tech)
昨日紹介した建築はコチラ!
コンセプト
隈研吾氏は、訪れる人たちが陸前高田の歴史や文化を感じられるよう、気仙大工の卓越した技術と地元の気仙杉を生かした親しみやすい建物にしたかったそうです。
デザインのプロセス
市の掲げる「ノーマライゼーションという言葉のいらないまちづくり」ということや、地域活性化の拠点として、誰もが気軽に集える場所となるようにという想いが込められています。
機能的提案
地域活性化の拠点として、地域性を感じることができ、かつ誰にでも開かれていて、親しみやすい建物となっています。
外観
一見シンプルな切り妻形です。
しかし、ゴツゴツ感+ツルツル感のハイブリットとなっていて、伝統の継承で終わらせないところが本当にすごいですね。
内観
中も杉だらけで、心がほぐれます。
この建築の構成材料
大きな木造平屋の建物で、梁や柱に地元の気仙杉の無垢材を使用しています。
気仙大工に伝わる「せがい造り」という工法を応用して作ったそうです。
せがい造りとは?
和船の両側に張り出した「せがい」のように、軒先の出桁(だしげた)を腕木(うでき)で支え、天井板を張った構造のことです。
建築家界での評価は?
私がいつも参考にしている書籍の筆者の方も、評価しています。
隈研吾の木造を、現代技術とのハイブリッドのみだと思っている人にぜひこの建築を見てもらいたい、とおっしゃっています。
計画のはなし
図面は?
以下の高田市の公式サイトに載っています。
1月本号.indd (city.rikuzentakata.iwate.jp)
平面・配置プラン
平屋となっています。
環境プラン
中央のスロープを登っていくと、展望スペースがあります。そのスロープは、「せがい」が突き出すような形となっています。また、そこからの眺めでは、津波対策でかさ上げしたエリアを見ることができます。
まとめ
参考書籍
隈研吾氏の建築を学ぶ上で、私がいつも参考にさせていただいている書籍は、「隈研吾建築図鑑」という名前で、著者は宮沢洋さんです。日経の出している本なので内容は安心かつ、すべてイラストで構成されているため、とても読みやすいです。
図解でわかりやすく、かつ明快な分類でまとまっていることがこの本の特徴です。初心者の私でも読むのが楽しく、かつ建築学生として有用な知識が詰まっていました。
隈研吾建築の変遷を全体的に捉えること、一つ一つの建築の特徴を理解すること、というどちらものアプローチで学ぶことができます。
ぜひ手に取ってみて下さい!
この書籍も作品集ですが、上の書籍よりも深く学ぶことができます。上の書籍で広く浅く隈建築を知ったあとに、少し深掘りする、という使い方が良いと思います。
図面なども載っていて、ボリューム感が良いです。とてもおすすめです。
言わずと知れた名著です。建築に携わるものとして、読むことは必須だと思います!
参照サイト等
・隈研吾建築図鑑 画・文:宮沢洋
・1月本号.indd (city.rikuzentakata.iwate.jp)
・Takata-Higashi Junior High School – SALHAUS
・高田旅ナビ | 陸前高田市観光物産協会公式サイト (takanavi.org)
・【イベント開催レポート】「陸前高田アムウェイハウス まちの縁側」オープニングセレモニー/建築家 隈 研吾 氏 特別講演 開催 (amway.co.jp)
今日のプチコラム
やはり、こんなに日本の伝統の技術を使って、現代的かつ美しく魅せるところが本当にさすがだと思いました。
とても勉強なさっているのだなといつも思います。見習わなくてはなりませんね、、、!
皆さん、明日も頑張りましょう!
施設概要
■「陸前高田アムウェイハウス まちの縁側」概要
所在地:岩手県陸前高田市高田町字館の沖111(KC17-1-1)
敷地面積:約1,800㎡
延床面積:545.28㎡(倉庫棟含む)
完成:2020年1月
設計監理:株式会社 隈研吾建築都市設計事務所 隈 研吾
施工:株式会社 長谷川建設
受賞歴:令和2年度いわて木材利用優良施設コンクール「岩手県知事賞(優秀賞)」受賞