【相合(SOGO)家具デザインラボ】隈氏が三重県につくった素材に向き合う場所。
概要
家具メーカーの研究開発所兼ショールーム。ウレタンを得意とする会社のため、ウレタンをデザインに主役にしました。鉄骨の構造を発泡ウレタンでくるみ、二枚の膜で覆っています。
隈氏の素材に向き合う姿勢がよくわかる建築となっています。また、発注者の相合家具製作所はこれまで、隈氏が設計を手掛けたいくつかの建物で、オリジナルの家具を製作してきました。
行ってみるには?
見どころ
この外観です。
研究施設らしからぬ、イベントパビリオンのような外観で、写真からはスケール感がつかめないものとなっています。平面はファンシーな形をしています。
公式サイトをまずチェック!
相合家具の公式サイトはコチラ↓
DESIGN LABO|業務用家具製造卸売|株式会社 相合家具製作所|SOGOKAGU CO.,LTD.
家具へのこだわりが発信されていて、それは大きくこの建築のコンセプトにも影響を与えています。
隈研吾氏の事務所の公式サイトはコチラ↓
Sogokagu Design Lab | Architecture | Kengo Kuma and Associates (kkaa.co.jp)
新建築データもあります。↓
相合家具デザインラボ - 隈研吾建築都市設計事務所 | 新建築データ (shinkenchiku.online)
ご利用案内(営業時間、一般開放しているか、利用料金等)(コロナ下において変更の可能性もあります。詳しくはご自身でHPのほうをご覧ください。)
残念ながら、現在は一般公開していません。
もっと詳しく(独自の観点からの評価 )
建築家(構造設計)
隈研吾氏です。構造設計は江尻憲泰氏です。
隈研吾氏の設計した代表的な建築で、もっとも有名なのは、国立競技場です。
近作で、都内にあるものの中はスターバックス リザーブ® ロースタリー 東京、根津美術館、明治神宮ミュージアム、JR高輪ゲートウェイ駅、浅草観光センターなど多数あります。
このブログでは毎日ひとつの建築を紹介しています。よかったらご一読ください。↓
Pioneer Of Attractive Archi – より深く名建築について知ることができるサイト。 (attractive-archi.tech)
コンセプト
家具とは、人間の身体に寄り添う柔らかいものだ、とのSOGOKAGUの思いを建築にも引き継ぎ、コンセプトとしました。これが、相合家具の家具のひとつです。
デザインのプロセス
相合家具の得意とするウレタンがそれに相応しいと思ったそうです。
また、作り方が見えることで、作った人が見えるものにしたかったそうです。
詳しくは、構造プランの項に書いておきました。
機能的提案
家具のショールームであるからこそ、その家具と同じコンセプトを持つ、柔らかい建築としました。
外観
ピンと張られた膜材は、ぱっと見白いアクリル板に見えますが、指で押すとわずかにへこみます。これは「ETFE」という膜材です。
鉄骨構造をまず発砲ウレタンでくるみ、その両側を2枚の膜で覆い、生物の皮膚のような、やわらかくて重層的な外壁を生成した。外側には、耐熱性を考慮してETFEを用い、内側には、メッシュ入りの透明な塩ビの膜を用いた。
Sogokagu Design Lab | Architecture | Kengo Kuma and Associates (kkaa.co.jp)
ETFTとは?
日本語では、「エチレン・四フッ化エチレン共重合樹脂」と呼ばれます。
耐候性が高い、光を通す、汚れが付きにくい、ガラスよりも軽量、といった特徴を持ちます。海外が先行しています。
使用例としては、ニコラス・グリムショウのエデン・プロジェクトがあります。今後紹介していきたいと思います。
隈さんがこのETFTを用いた建築は、仮設建築にはなりますが、これらがあります。
京都市・下鴨神社内につくった「800年後の方丈庵」や台湾の「木組みのパビリオン」などです。
また、藤本壮介さんも、ユニクロ心斎橋店にて、この素材を使っています。
内観
このETFTという素材は、明るさを重視して使用される例が多いです。しかし隈氏は、通光性のある断熱材もある中で、通常の発泡ウレタンというものを使っています。これは、室内での綿あめのような、和紙のような見え方のためです。
以上のように、この建築では、柔らかさというコンセプトから、光にもこだわっています。
メッシュ状のブレース構造をとりまくウレタンとETFEフィルムが、室内にやわらかな光を導き入れます。光の効果を際立たせたガラス階段や、かん合組みの高さ5mにも及ぶ木製スクリーンが、訪れるお客様を明るく迎えます。
DESIGN LABO|業務用家具製造卸売|株式会社 相合家具製作所|SOGOKAGU CO.,LTD.
この建築の構成材料
この相合家具が得意とするETFTです。
また、間仕切り壁は、隈さんが得意とする木材で構成されています。
計画のはなし
図面は?
隈研吾氏の事務所の公式サイトに、配置図、平面図が載っていますので、ぜひご覧ください。
Sogokagu Design Lab | Architecture | Kengo Kuma and Associates (kkaa.co.jp)
平面・配置プラン
平面図の形も、その「ふわふわ」感を表したかったのかもしれませんね。新しいスタイルの内外統一だと考えられています。ぜひ隈研吾氏の事務所の公式サイトからご覧になってみてください。
構造プラン
鉄骨の主構造においても、生物的なロバストさを追求し、小部材をアミダ状に組み合わせた、メッシュ状の構造システムを実現した。また、それを作り方まで魅せられていて、作った方の思いも見ることができます。内装は、厚さ25mmの合板の断片を組み合わせて、雲のような曖昧な空間を実現した。
構造設計を担当した江尻憲泰は、大きなブレースと違い、小さなブレースを使うことで、一か所が破損しても全体に大きな影響が出ないとのことでした。
ロバストとは?
強靭さ、頑健さのこと。
環境プラン
周りの環境とも曖昧な関係を築いています。
まとめ
私がこのブログの執筆や、隈研吾氏の建築について知識を深めるのに大変役に立ったのがこの本です。ぜひご覧になってください。
参照サイト等
・隈研吾建築図鑑 画・文:宮沢洋
・DESIGN LABO|業務用家具製造卸売|株式会社 相合家具製作所|SOGOKAGU CO.,LTD.
・Sogokagu Design Lab | Architecture | Kengo Kuma and Associates (kkaa.co.jp)
・相合家具デザインラボ - 隈研吾建築都市設計事務所 | 新建築データ (shinkenchiku.online)
・隈氏がETFE使用し「柔らかい外壁」 | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)
参考書籍
隈研吾氏の建築を学ぶ上で、私がいつも参考にさせていただいている書籍は、「隈研吾建築図鑑」という名前で、著者は宮沢洋さんです。日経の出している本なので内容は安心かつ、すべてイラストで構成されているため、とても読みやすいです。
図解でわかりやすく、かつ明快な分類でまとまっていることがこの本の特徴です。初心者の私でも読むのが楽しく、かつ建築学生として有用な知識が詰まっていました。
隈研吾建築の変遷を全体的に捉えること、一つ一つの建築の特徴を理解すること、というどちらものアプローチで学ぶことができます。
ぜひ手に取ってみて下さい!
この書籍も作品集ですが、上の書籍よりも深く学ぶことができます。上の書籍で広く浅く隈建築を知ったあとに、少し深掘りする、という使い方が良いと思います。
図面なども載っていて、ボリューム感が良いです。とてもおすすめです。
言わずと知れた名著です。建築に携わるものとして、読むことは必須だと思います!
今日のプチコラム
ロバストという言葉や、断熱材などについてこの建築を通して知り、自分には知らないことだらけだとますます思いました。
本日はお疲れ様でした。 皆さん、明日も頑張りましょう!