【TOYAMAキラリ】隈研吾氏の「曲がりくねる」吹き抜け
概要
富山市ガラス美術館、富山市立図書館、富山第一銀行から成る複合ビルです。吹き抜けを斜めに利用した理由は、南からの自然光を有効活用するためだそうです。
また、南北でデザインが全く異なるファサードにも注目です。
行ってみるには?
見どころ
外観という項で外壁については紹介しています。
ここでは、一番の見どころの、吹き抜けについて紹介します。
この吹き抜けは、ねじれるように上昇していきます。その内部には、スギのルーバーが取り巻いていて、このパラパラ感が、吹き抜けの形にフィットしています。
公式サイトをまずチェック!
富山キラリの公式サイトはコチラ↓
施設概要 – 富山市ガラス美術館 (toyama-glass-art-museum.jp)
所在地
アクセス
◆公共交通 市内電車「西町」から徒歩1分 又は
環状線(セントラム)「グランドプラザ前」から徒歩2分 又は
市内周遊ぐるっとバス南周りルート「ガラス美術館(西町)」下車
◆自家用車 北陸自動車道富山ICから車で約15分
ご利用案内(営業時間、一般開放しているか、利用料金等)(コロナ下において変更の可能性もあります。詳しくはご自身でHPのほうをご覧ください。)
開館 | 日~木 9時30分~18時(入館17時30分まで) 金、土 9時30分~20時(入館19時30分まで) |
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休館 | 毎月第1・第3水曜、年末年始(臨時開館日あり) |
入館料 | 常設展 大人200円(170円)、高校生以下無料 ※()内は20名以上の団体料金 ※企画展は別料金 |
駐車場 | なし ※周辺のコインパーキングをご利用ください。 |
お問い合わせ先
富山市ガラス美術館 076-461-3100
もっと詳しく(独自の観点からの評価 )
建築家(構造設計)
アール・アイ・エー(RIA)と隈研吾建築都市設計事務所、富山市の三四五建築研究所の3社JVが担当した。
隈研吾氏の事務所、隈研吾建築都市設計事務所の公式サイトはコチラ↓
Toyama Kirari – Toyama キラリ | Architecture | Kengo Kuma and Associates (kkaa.co.jp)
隈研吾氏の設計した代表的な建築で、もっとも有名なのは、国立競技場です。
近作で、都内にあるものの中はスターバックス リザーブ® ロースタリー 東京、根津美術館、明治神宮ミュージアム、JR高輪ゲートウェイ駅、浅草観光センターなど多数あります。
このブログでは毎日ひとつの建築を紹介しています。よかったらご一読ください。↓
Pioneer Of Attractive Archi – より深く名建築について知ることができるサイト。 (attractive-archi.tech)
コンセプト
まさに「キラリ」です。
デザインのプロセス
ファサードの「キラリ」は、立山の氷の岩脈のような、あるいは富山で作られる美しいガラスのアートのような、キラキラと光ることからきています。
また、とぐろをまく吹き抜けのキラリは、建物内部までキラキラさせるために角度を検討したのです。光をやわらかく反射させ、建物の中はあたたかく、やさしい光で満たされます。
機能的提案
吹き抜けを中心として、縦に機能(図書館と美術館)を割り振ったことです。
外観
南北で全く異なる外壁のデザインです。
大通りに面する北側は、アルミ、御影石、ガラスで縦方向に分割したデザインで、表情豊かな立山連峰を彷彿とさせることを期待しています。様々な角度で光を反射し、市民を輝かせます。
また、この手前にある交差点は、かつては銀座のようににぎわっていたといいます。というのも、前に立っていた建物が、大和アパートで、屋上に遊園地があり、中高年の多くの思い出の場所となっていると市長は話します。
こうした場の記憶を残すため、隈研吾氏は縦ラインを強調した旧デパートの外観を自分なりに解釈して継承したそうです。
一方、裏通りに面する南側は、緑化パネルと太陽光パネルをグラデーションのように配置されています。
都心の大規模建築だからこそ、外見を均質にせず、”都市的ノイズ”を取り入れるべきだと考えたのかもしれませんね。
これと似た考えで作られているのが、「としまエコミューゼタウン」です。
この建築は、日本設計と隈研吾氏の共同の設計で、なんと庁舎とタワマンの融合した建物となっています。
内観
このように、吹き抜けの角度に合わせてスギのルーバーを配置しました。
それによって、ますます「斜め」を強調しています。
私も設計の際に斜めを使ったことがあるのですが、それを使ったときは、それで終わりではなく、それを「一目見てわかる」ような工夫を加えるなどすればよかったのか、と腑に落ちました。
この建築の構成材料
富山産のスギのルーバー等、様々な素材を用いています。外観、内観という項で確認してください。↑
計画のはなし
図面は?
平面、断面、立面のいくつかの図面が隈研吾氏の事務所の公式サイトに載っています。
平面・配置プラン
1階は共用エントランスと富山第一銀行の店舗、2階から6階に市立図書館と富山市ガラス美術館、7階から10階に銀行執務室がある。
富山市ガラス美術館は、「グラス・アート・パサージュ」と呼ばれる展示室の壁面や図書館内に富山ゆかりの作家の作品の展示があります。また6階「グラス・アート・ガーデン」には、現代ガラス美術の巨匠デイル・チフーリ氏の工房が制作したインスタレーション(空間芸術)作品を展示しています。
断面プラン
2~6階を吹き抜けが貫きます。
また、平面・配置プランの項で述べたように図書館と美術館が融合できるのは、隈研吾氏の複合施設を縦に分けるというやり方からでした。
北側に図書館、南側に美術館としました。
構造プラン
この形状も位置もそれぞれで異なる吹き抜けを作るのは、難易度が高かったそうです。
しかし、これをブレースを入れることや、オイルダンパーを追加することで乗り切りました!
まとめ
参照サイト等
・隈研吾建築図鑑 画・文:宮沢洋
・施設概要 – 富山市ガラス美術館 (toyama-glass-art-museum.jp)
・「TOYAMAキラリ」建築コンセプト – 富山市ガラス美術館 (toyama-glass-art-museum.jp)
・富山市ガラス美術館(TOYAMAキラリ) | 富山市の観光公式サイト | 富山市観光協会 (toyamashi-kankoukyoukai.jp)
・富山市立図書館(TOYAMAキラリ) | 富山市の観光公式サイト | 富山市観光協会 (toyamashi-kankoukyoukai.jp)
・斜めの吹き抜けで 5層の回遊性促す | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)
・Toyama Kirari – Toyama キラリ | Architecture | Kengo Kuma and Associates (kkaa.co.jp)
参考書籍
隈研吾氏の建築を学ぶ上で、私がいつも参考にさせていただいている書籍は、「隈研吾建築図鑑」という名前で、著者は宮沢洋さんです。日経の出している本なので内容は安心かつ、すべてイラストで構成されているため、とても読みやすいです。
図解でわかりやすく、かつ明快な分類でまとまっていることがこの本の特徴です。初心者の私でも読むのが楽しく、かつ建築学生として有用な知識が詰まっていました。
隈研吾建築の変遷を全体的に捉えること、一つ一つの建築の特徴を理解すること、というどちらものアプローチで学ぶことができます。
ぜひ手に取ってみて下さい!
この書籍も作品集ですが、上の書籍よりも深く学ぶことができます。上の書籍で広く浅く隈建築を知ったあとに、少し深掘りする、という使い方が良いと思います。
図面なども載っていて、ボリューム感が良いです。とてもおすすめです。
言わずと知れた名著です。建築に携わるものとして、読むことは必須だと思います!
今日のプチコラム
コンセプトを建築のファサードしかみない人やスマホを見ながらふらっと立ち寄る人にも「魅せる」ことができる建築にしたいと考えました。
皆さん、明日も頑張りましょう!
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